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『この森はあんま住んでるやついねーから少しここに留まろう。あ、あとなヨイチ…』

『ん…?なんだ?』

『あ、いやお前さんの誕生日っていつなんだ?』

『誕生日…?こっちの暦と同じなら来月だが。』

『そ、そそそうか!あ、いやいーんだ』

『…なんかあるのか?』


『いや、その…オラん一族じゃ、嫁の誕生日を初夜にするとずっと仲睦まじくいられるって伝統があって…』

『しょ、初夜

『いやいや!ヨイチが嫌ならいつまでも待つから!本当に!』

『…べ、別にやじゃない。』

『へ、』

『…!なんでもない!』

『そうかぁ、じゃあもう少しだけ待つかぁ』












そう。
あれは、この森に住み始めた時に言ってくれたんだ。
あれから2週間。


薄暗く、淋しい雰囲気の森ではあるが、湖もあり、食料にも困らないので悠々と暮らしている。
学校であくせく働いていたことを考えると、前よりずっと良い生活だ。
空気が美味いし、伸び伸びできる。


問題は、マッカイだ。



確かに待つ、とは言っていた。






けどここまで何もしてこないとは…!






マッカイは優しい。
食べ物もとってきてくれるし、寒い夜は身を寄せて暖めてくれる。


だがそれだけだ。


しょ、初夜はともかく、スキンシップやキスさえもしてこない。
これで本当に俺は番いなのだろうか…?

やはり異界人であり、ましてやふたなりの俺には欲情しないのかもしれない…

どうすればいいんだろう。

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リゼ