君は僕のシュガーパイ

俺は可愛い男の子にしか好きになれない…


「え、何をおっしゃるのですか…?」

生まれて初めて寝室に人を呼んだ。
ふわふわカールの髪。
女の子のようにふっくらした頬。
華奢な身体。

ずっと好きだった自分の親衛隊長に今日ついに告白したのだ。

親衛隊長…美園は涙ぐんで「喜んで…!」と言ってくれた。
本当に嬉しかった。
寝室に呼ぶのは恥ずかしかったけど、美園がどうしてもというから。

なのになんで…


「会長様がネコだなんて…ボク幻滅しました。ご自身の容姿をわかっていらっしゃらないんですか?」

冷たい目で言い捨てられ、背筋がゾッとした。

バタンという扉の音で、美園が出て行ってしまったことがわかった。


「うっ…ふっ…うぅ〜」

わかってる。
わかってるさ。

俺がガタイが良くて、男臭い自分の容姿なんて。

けど仕方ないじゃないか。


昔、まだ周りから『可愛い』と言われていた頃。
俺は近所のお兄さんにいたずらされた。

幸い最後まで致したことはなかったが、それ以来自分より背の高い男がトラウマになってしまったのだ。

しかし、俺は同性愛者で、しかもネコだった。さらに成長期がきてガタイがよくなり、チワワみたいな可愛い男子に「抱いてください」などと言われるようになってしまった。

可愛い男の子は好きだ。
けど、抱くことはできない。



いつも親衛隊として俺を見守っていてくれた美園に淡い恋心を抱いていた。けどそれはあっけなく散ってしまった…
やっぱりこんな俺には恋人なんて出来やしないんだ。


俺は女々しく涙を拭いながら、ベッドで不貞寝した。






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