優しさに触れる


TOW3設定

セネル×コハク要素あり



「イテテ…」

「大丈夫か?ハーツ」

「大丈夫じゃねえ…」


ヒスイ、クロエ、セネル、コハクの四人はコンフェイト大森林で魔物の討伐の依頼を受けていた。それはセネルとコハクが受けた依頼で、ヒスイとクロエは付き添いだった。クロエは兎も角、ヒスイは未だにセネルとコハクが付き合っていることに納得が出来ず、強引に着いてきたのだった。息の合う二人に入る隙などなく、挙げ句の果てにはうっとおしいと思ったコハクに思いきり蹴られ、地面に伏していた


クロエはそんなヒスイを見て溜め息を吐く。そんなに過保護だとコハクに嫌われてしまうのではないのかと。セネルよりもコハクの方が積極的なため、実際には邪魔されることにコハクは腹を立てているのか、睨まれっぱなしのヒスイだった


「これでは、お前の方が退治されてしまうのではないか?ハーツ」

「仕方ねーだろ…可愛い妹に虫がついたら誰だってこうなる」

「(そうだろうか…?)」


そんなのはシスコンすぎるヒスイ、チェスター、ティトレイくらいしかいないだろうとクロエは思った。過保護すぎるというかなんというか…この間もシェリアの提案で海に出かけた時もセネルのことをかなり睨んでおり、シャーリィと二人で呆れていたのを覚えている


ちなみに、その後ヒスイはコハクがセネルの気分を悪くさせないでと言い、怒られていた


「セネルの奴…」

「……ハーツ、地面に倒れたままクーリッジを睨んでいると負け犬みたいに見えるぞ」

「!?」


負け犬と言われ、ヒスイは軽くショックを受ける。クロエはそんなヒスイを見てまた溜め息を吐く。ヒスイに近寄り、手を差し伸べた


「?」

「とりあえず、いつまでも倒れていないで立て」

「あ、ああ…悪いな」


ヒスイはクロエの手を取り、立ち上がる。立ち上がって早々にセネルとコハクを探し始めた


「クーリッジ達なら先に行ってしまったぞ」

「何!?」

「コハクが邪魔をされたら堪らないから二手に別れようと言ったんだ」

「そ、それを先に言えよ!クソ…今から二人を追いかけて…」

「追いかけたらまた蹴られるぞ。後、コハクがノルマを達成するまでは口も聞かないと言っていた」

「ま、マジかよ…」


そこまで邪険にしなくてもいいだろ…とヒスイは落胆した。と言っても実際にセネルとの仲を妨害してばかりいるため、そう言われても仕方がないと心の中では分かっていた。セネルのことは嫌いではない。むしろいい奴だと思っている。だが、コハクのことになれば別だ。大事な妹を取った。いや、取られた…と寂しい気持ちになってしまうのも事実だった


「はあ……」

「溜め息を吐くな。魔物を倒してクーリッジ達に合流しよう。早く合流出来るように私も協力してやるから」

「ワリィな…」

「気にするな。コハクには悪いと思っているが、今のお前は正直見ていられないからな」

「!?」

「仲直り…したいんだろ?とりあえず二人のことは後にして、今は魔物を倒すことに集中して欲しい。それにはお前の援護が必要なんだ」

「クロエ…」


大抵の仲間は自分のシスコンぶりに呆れて放置するが、クロエはそんなことをしなかった。呆れていることに変わりはないかもしれないが、優しい言葉をかけてくれただけでも嬉しいものだとヒスイは思った


「……サンキュー」

「え?あ、ああ…」


照れているのか小さな声でお礼を呟くヒスイ。クロエはお礼を言われるとは思っていなかったのか驚いた表情を見せたが、穏やかな笑みを浮かべたのだった


「なんか、2人共いい感じだね」

「ああ、そうだな」


実はヒスイとクロエの微笑ましいやり取りを既に魔物を倒し終えたセネルとコハクが見ていたというのは秘密…



終わり


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