愛しい私の姫−甘−
森がざわめく

「サン!アシタカだ!アシタカが来た!」

「わかったわかった、さ、お行き」

「うん!ありがとうサン!」

私は全速力で山を駆け下りるとアシタカがいるであろう少し小高い丘へと向かう

あぁ、やっと逢える

どれだけ待ちわびたことか

アシタカはあの後エボシの元で村をまた再発展させるためにしばらくの間は会えずにいた

木々の間を走り抜けると追い求めていた彼の姿が見えた

身体中の血が駆け巡る

私は笑顔で彼の名を呼んだ

「っアシタカ!!」

大声で呼ぶと少し驚いたような素振りを見せたがすぐにいつもの笑顔に戻った

そして私に向けて両手を広げた

ぼふっという可愛らしい音はせずがばぁっとアシタカに抱きつくとそのまま草の上に倒れる

「アシタカの匂いだ...会いたかった...会いたかった、アシタカ...」

「ハハ、相変わらず大胆だな、だが私も会いたかったよ


ぎゅうっと抱きしめ返してくれるその逞しい腕にすがるように腕に力を加える

離れたくない、もっともっと、ずっとずっとこのままでいたい

「、とりあえず起きよう、顔を良く見せておくれ」

渋々と顔を上げるとなんとも愛おしそうな眼差しでこちらを見つめてくる

男らしい大きな手は頬に添えられやがて後頭部へ移動するとゆっくりと顔が近づく

長い長い触れるだけのキス

優しくて温かい、すごく幸せな気分になる

「本当に美しいな、は」

「じゃあアシタカは本当にかっこいいぞ!」

にかっと笑うとまた触れるだけのキスをしてアシタカの腕の中に納められる

「なんだか今日はアシタカのほうが甘えたさんだな!」

よしよしと私は柔らかい茶色の髪を撫でるとアシタカは気持ち良さそうな顔をして笑う

「、そなたは私だけの姫でいておくれ」

「ん?いいぞ!私はアシタカだけのものだ!」



その花のような笑顔に

私はいつも溺れる






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