sad story
※暴力的描写が含まれております。
苦手な方は観覧をお控え下さい。
――――――――――――――――
―――キィ
扉が開く、鉄がこすれて鳴った音
そのすぐあとに中から喘ぎのような小さい声が聞こえた。
「――んぐぅ…」
血なまぐさい暗い部屋。
扉のすぐ近くにあった電気の電源を着けてみた。
カチっと小さい音がして、壁も床も、ベッドさえも白で統一させた部屋の全てが一瞬で映し出された。
ただ、隅の方に鮮明な赤があったけど。
「…蓮、くん 」
隅の方から声がして、そちらを向いた。
倒れている体 だけど顔はこっちを向いている
「“蓮くん”?…誰だ、それは」
オレは声のした方へと歩み寄り、それを強く蹴飛ばした。
「ぁあ…っ、う…ぐ…ッ」
お腹を押さえてうずくまったソレはまだこっちを向いていた。
大きな緑色の目が、肌についてる赤いものと合わなくて気持ち悪い。
「誰だお前は、何故こんなに赤くなっている」
「……」
「答えろ」
無口なソレをもう一度、蹴飛ばしてみた
「ふあぁっ!!…やめっ」
するとそれは痛みでなのか快感でなのか、顔をしかめて声をあげた。
――ヴヴヴヴ
機械的な音がした。
この音はなんだと聞いてみたら それの中にオレが昨日入れた物らしい。
首を傾げながら確認してみたら、グロテスクな太く黒光りする物が入ってた。
「…ごめん、ごめんね…蓮くん…っ」
それは目から涙を流しながらオレに謝り続ける。
何を謝っているのか、オレには少しもわからない。
思い出せない記憶。
「ふぁあぁあああーー…!!!」
もはや感情のなくなった冷却な彼は止まる事を知らず、昨日からボクの穴に埋まったまんまのバイブのはみ出ている部分を入れようとしている。
「なんだ、この白い液は」
彼の問い掛けにボクは目を反らす。
それでも強い振動のそれがボクを襲って来るので口から出る喘ぎを最小限に抑えながら、彼を見つめてた。
ごめんね、…ボクが壊した二人の日々。
自分がいけないのに、誰かのせいにしようと胸の中で責任を誰かに擦り付けた。二人、ただ愛し過ぎたんだ。
蓮くんを他の誰かに取られる事が怖くて、1日に何度もキミを抱いた。
もちろん、彼は二回目以降は嫌がった。
でもボクは止めなかった
揺すってキスして擦って摘んで、結局壊した。
申し訳ない感情が今でもボクを苦しめる。
彼が感情と記憶をなくしてから一年。
誰にも彼を取られない代わりに愛情も正解もなくなった。
そんな彼を今でもボクは愛してる。
この後 小一時間ほど彼はボクを蹴飛ばしたり叩いたりしてから部屋を絶った。
キミをもっとまっすぐに見つめられたらよかったね。
悲しく切ない感情が広い高野に消える事は決してない…。
…いつの間にか寝ていたのか、もうすぐ彼が来る時間。
今日もボクはボクの償いを果たす為、キミに体を捧げます。
2009/09/05
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