見間違いは夜の果てに

すぐに笑えなくなるよ。キミがボクの目に映る度に。
楽しかった日でもキミを少し思い出してしまうと胸が痛くなる。

「やあ」

だけど、だけどキミは呑気な顔してベランダで星を見ていたボクに挨拶なんかする。

「ハオ…っ」

ボクが睨むと目の前の男は笑って言った。

「僕が君の両親を殺した事、まだ怒ってるの?だとしたらごめんね。でも、もういいじゃないか。過去に縛られたって戻らない事には仕方ないし」

今更、謝られたって なんの慰めにもなりはしない。

「…ボクがキミを許せない理由は二人ある。」

ボクは下を向く

「一つは、あの日までの幸せだった日々 あの日からの幸せだろう日々を壊された事。…もう一つは」

窓を開け、ベランダの窓のガラスに手をかけてハオに背中を向けて呟く

「…キミを憎む事で、両親をいつまでも忘れないため。」

窓が開いたカラカラと言う音が悲しかった。
今日は少し、嫌な気分だった。

ベランダにハオを残したまま窓を閉めようとしたけど重くて閉じない。
見ればハオが閉められないように押さえていた。

「…なぁんだ。じゃあ僕の事、嫌いではないんだね。」

ハオの台詞を否定しようと、後ろを振り返ると手首を掴まれ 顔と顔が至近距離へと変わる。

「…っ!!」

目を固く閉じていたらいつの間にか、壁と背中がぶつかって逃げ場を失った。

「もう逃げるなよ。僕と一緒にいよう。」
「…ふざ、けるな…ッ、キミなんかと一緒にいるくらいなら死んだ方がマシだ…っ」
「ふぅん…じゃあ死んでみる?」
「……っ!!」

体が少しだけ震えた。
ハオの言葉がとても、冗談には聞こえなかったから。

「……怖いのかい?」
「…誰が」
「君が」
「…怖くなんか…」

体の震えが止まらないのは少し驚いているからで別に彼に対する恐怖じゃない
それでも心は逃げようと必死みたいだ。

「………。」

黙ってじっと考えてるコイツがたまに解らなくなる。
でも、皮肉な事にボクの考えている事はハオにはまるわかり何だろうけど。

「…ふっ、あ…ひ…っ」

突然ハオがボクの胸の突起を指で抓って動かした。
急な行動に固く目を瞑って歪んだ変な顔を彼に見せてしまった事が悔しかった。

「…女の子みたいな顔して女の子みたいな声で泣くんだね。」
「うる、さい…っ」
「君の喘ぎ声の方がよっぽど耳障りだよ。」
「…黙れ、そんな事お前に言われる筋合いは…っぁあ!!」
「筋合いは?」
「…ん、っあ…ない…」
「敏感なんだね。」

そんな会話を挟んで尚も胸の突起をいじり倒す彼の指に足がガクガクと震える。

「あ…っ、ん…ぁあああ…っ!!」

最も憎むべき相手の指だけで、あっさり出してしまった精液が早く乾くのを待った。
けどそんなのはハオに筒抜けている。
イッてしまった脱力でボクは床に座り込むと言うよりは倒れ込んだ。

「まだ終わりじゃないよ。僕はまだ君に入れてないからね。」
「……。」

ボクは彼を見上げた。
酷く脱力した体では立ち上がって逃げる事も、必死に彼を止める事も出来やしない。
ボクはハオにされるがまま押し倒された。

「…やめろ。」

もはやそんな言葉に意味はない。いつもの何も考えてなさそうな顔で「嫌だ」と言われて終わった。
抵抗もロクにしないでボクはすぐに裸になった。

「んん…」

ハオが指をボクの口に入れて掻き回した。
予想外に冷たかったハオの指が熱くなった頬に触れて驚いた。

「挿入るよ」

指を抜き去り、吐いた短い言葉の後に鈍痛が体を走った。
普通、モノが出て行くようにしか造られていないそこが何かを飲み込むのだから痛くない訳がないし、そもそも汚い。

こんな事を黙ってされている自分にも嫌気が差した。
ハオの指が動く度、汚い水音が耳に響いた。
この痛みに大分なれてきた頃、彼の指はスルリと抜けた。

でも安堵したのも束の間で、ハオはボクの両足を持ち上げて自分の肩に掛けた。
何をしているのか解らなかった。
だけどそれは直ぐに痛みと共に理解できた。

―――ズチュウ

「      」


「……っ」

「ふ、ぁ…あああああああー…っ!!!」

必死にハオの侵入を拒むように手で彼を押したりしてみた。
けど邪魔だったのか手は彼の手によって自由を失ってしまった。

反抗する事も出来ずにただ喘ぎ続けて結局は壊れてしまいそうだった。
いっそ壊してしまったら楽だったのかも知れない。
壊して欲しかった。
そんな見間違い、なくてもいい。
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