遠くの光

首を伝って流れていった汗が愛しかったから、僕はそれを舐めた。



「やめ…っリゼルグ…!!」

ワイヤーで腕を縛り上げて、彼の身動きを止めた。
だってずっと、好きだったんだから…。

「せっかく君を手に入れる為にこうしたのだから、簡単に放すわけがないでしょ?ねぇ、蓮くん…。」

彼の顎を持ち上げて僕の方を向かせる

「…っ、こんなの間違って…っ」
「暴れても無駄だよ。」

僕の言葉に彼は僕を睨みつけた。僕はそっと下を向いて、もう一度 言った

「暴れても、無駄…。」

もう君は僕のモノになるんだから、それは変えられない運命だから。

「大好きなんだよぉ…蓮くん…?」

そっと顔を近付けていき、キスを奪った。
柔らかい唇とカサつく僕の唇が触れ合った瞬間、僕は腹部に激痛を感じた

「…っ!!?………れん、くん……?」

僕のお腹に、黒い靴を履いたままの彼の足が当たっていた

「はっ…り、リゼルグ…もう、よせ…っ」
「………っ」

彼の手を上で縛ってたワイヤーが、スルスルと外れて行ってとうとう彼は自由を手に入れた。
僕はうずくまって、床を見つめて訪ねた

「どう…して…?僕はただ、君が好きなだけなのに…、どうして君は…!!」

上を向いた僕の目は彼を捉えた

「…っ!!」

そうそうにオーバーソウルを済まし、彼を捉え直した。
こんな僕でも、武器をもってない君には勝てるんだよ、蓮くん。

「蓮くん…君がいけないんだよ、君が…。…君が僕を本気にさせるから…っ」

巻き付いたワイヤーで一気に服を裂いたら、白くて綺麗な肌が僕の前に現れた。

理性が利かない、理性が利かない、理性が利かない…。
好き過ぎて仕方がない。

「……リゼルグ…。」

気分がいい。そうやって泣きそうになりながら君は僕を呼ぶんだね…。

「モルフィン!!もっとキツく、蓮くんを縛り上げるんだ!!」

僕の言葉を聞かずに、モルフィンは進行を止めた。

「モルフィン!!?…何をしてるんだ、早くし…」

目の前の2人は、僕を見ていた。
この僕を哀れむかの様に切なく、冷たい目で。

「なんだ…モルフィン…その目は…っ、」
「…無理やり、奪おうとしてるからだリゼルグ…。」

ワイヤーが外れた事により、身動きが取れるようになった彼が僕を抱き締めた

「……っ!!」
「貴様は間違ってる…本当に好きなら、優しく包む事が出来ただろう…?」

手に入らないと信じ込んでたから、無理やり奪った。
だけどそれはいけない事だったんだね。

冷静さを忘れた僕はそんな事も解らずに、好きな人さえ傷つけた。
ごめん…ごめんなさい…


でもこれで、君とお別れしなくちゃいけなくなるんだね。

「……リゼルグ、」
「…?」


下を向いた僕の名前を呼んだ。

「今度は、優しく抱け…っ」

上を向いて、彼を見れば 顔を真っ赤にさせて腕を組んだ彼が目に映った。

「…蓮くん…。」

それが同情でも、憐れみからでもいい…。
そばにいたい そう願っただけ。
遠くにあった光が少しだけ、近くになった気がした

 
- 8 -

[*前へ] [#次へ]

戻る
【アマギフ3万円】
BLコンテスト作品募集中!
リゼ