タダ、キミヲオモウ。
ただただ頑なにキミを想う。
「ストレス溜まる。」
ボクが言った。目の前にいた蓮くんが振り向いた。
「…お前もストレス溜まるんだな。」
あからさまにイライラしているボクを前に彼はおどおどしているよう。
人間誰しも抱える悩みや苦悩はあるし
「ハオのコト。アイツのコトを思い出す度腹が立つ…。」
「……昔の事だ、あまり気にするな。」
「昔?ボクは最近の話をしてるんだよ。」
好きなだけボクの体を貪り、穴を広げて楽しんでそして逃げた。
アイツのコトが気に食わない。
もっとなんか、謝ったり 好きだと言ったりしたっていいじゃない
それなのに なんで“いつか”を境にめっきりと来なくなった。
「…………。」
ふと目の前のヒトが目に止まった。
この際、誰のでもいい
―…欲しい。
正しいばかりの下心に理性も利かない。
「ねぇ…蓮くん。ボクと、寝ない?」
「な…っ!?何を言ってい…!!」
何を言っているかなどコチラだって知らないよ。
と言うより、頭が解ろうとしない。
「…ボクじゃ嫌?」
我が儘を言ってるのは解った。でも彼が否定したのも解った。
「オレは…優しく出来んぞ?」
ボクは頷く。
早速ベッドへ移動して服を脱ぎ、支度をした。
焦ってる指が少し寒い。
そんな指で自分の穴を開いてみせた。
「早く来て…蓮くん。」
「…ああ」
しっかりと勃起してる彼のモノを見て少し安心した。
「行くぞ?」
「うん」
呆気なく入って来て、ボクは彼の大きさにちょっとだけ驚いて声を出した。
「蓮くん…っ、の…おっきい…っ」
乱れた息、人肌の温度、下から見た上のヒトの顔
全てが興奮材料だった
だけれど…
だけど、なんだか満たされない。
満たされるコトはない。
中は彼で溢れているのにも関わらず心が満たされない。
だから口先ばかりで喘ぐだけ。
『ほら、もっと叫びなよ。僕が君の両親を殺したあの時みたいに』
『痛い?…痛いのが好きな君にはちょうどいいじゃないか。』
『口では嫌がっておいて、やっぱり心と体に嘘はつけないね…。』
足りない。乱暴さが足りない。
もっと深く中へ乱暴に差して欲しい。
汚いコトバを浴びせて欲しい。
汚していて欲しい。
肉体的な暴力をふるって欲しい。
お願い。
そういう風にしてくれないと心がもえない。
「ハ……オ…っ」
ボクの涙は報われない?
本当はそんな彼が好きだったボクの想いは汚い?
「………。」
好きで、好きで好きで仕方なかった。
ただ声が聞きたくて ただそばにいたくて
それなのに…。
「リゼルグ、無理はするな」
彼の一言にハッとする。
あぁ、ボクはなんてコトを思っていたのだろう と
「ごめん…。」
本当は
ただアイツを想っていた。目の前のヒトは違う。
ボクが思ってたヒトはボクが最も憎むべき、そして一番愛おしい。
だから早く帰って来てね、今すぐ。
無理だなんて言わないで
だって心はキミを覚えている。
ただただ頑なに、キミを想っている…
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