あの日の償いと雨
雨は降り続く、君の涙。
二人、サヨナラを決めた日に俺は真田を抱きしめた。
肩に顔を埋めてから息を一、二回吸い込んだりしてみた。
この匂い、感覚、君の事を忘れない様に…瞳を瞑ってもすぐ思い出せる様に。
いつから壊れた?
そんなの知ってる。それは、最初から。
ねぇ真田、君は俺がキスをする度何を思っていた?
俺の投げやりな感情をなにより感じていたはずだ。
それは君が一番、分かってる。
“どうせ壊れてしまう愛なら”
いつも、そう思って無理やりキスした。
ごめん…。
不器用ではなく、演じてる訳でもなく
予想外に壊れて行くのが怖かった。
こんな俺は君にとって、とても情けなく感じただろう。
だけど君は何度も受け止めてくれた。
…ありがとう。
初めて君を抱いた日、君は嫌だと…怖いと言った。
俺は気にせず奪った。
あの日の償い…その日の雨は君の見せない涙の代用品だった。
そして今日もあの日とおんなじ雨が降る。
ねぇ、泣いてるの…?
だとしたら君の居場所を教えて、
今すぐにでも迎えに行くから...
雨は止まない。
君もいない。
結局、俺は一人ぼっち。
「真田…。」
君は毎晩夢に出る。
俺を殴って去って行った現実の後は、優しい夢が始まった。
“さっきは殴って悪かった”
気にしないで、俺も…ごめん。
“だから償いに、俺の体をあげるから…”
夢の中で真田を抱くと、必ず夢は覚める物。
だから早く雨よ止んで。
俺は君を見つけ出して、絶対抱いてみせるから。
夢の続きを追いかけて...
(2010/09/25)
※意味が分かれば気持ち悪い話
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