隣同士
例えば、あなたの瞼の裏にいつも俺がいる事
例えば退屈な夜にあなたが分かった様に電話をくれる。
そんな健気な幸せをとても大切にしてるよ。
だからねぇ…それ以上はいらないかな…。
10秒会話が止まったら俺はいつも、確認する。
「ね、真田…俺の事愛してくれてる?」
ただ怖いんだ。臆病なんだ。
だけどね、それは君もきっと同じで少し俺のこの言葉を待っているって感じがする時もある。
俺が聞いたら君は変わらず答えてくれる
「世界で一番、愛してる。いつだってずっとお前を想っている。」
と…。
だから安心できるんだよ。
それだから君が好きなんだよ。
じゃないと、喧嘩だってロクに出来ないから。
「じゃあ…抱きしめてよ…」
真田の部屋の窓から見える枯れ木から葉っぱが一枚、風に浚われた。
気にしないで肩を寄せる。
大好きな胸板、肩幅、匂いが俺を抱きしめる。
「あー…げんいちろー幸村さんと抱き合ってる…。」
「 」
「あ、左助くん…」
凍りついた君の体。
そんなに顔を赤くして、すごく可愛い、とてもそそられる。
「勝手に入って来るなと何度も…っ」
「いーじゃん、げんいちろーのケチ!」
「それとこれでは話が別だ!!」
あなたといる時はいつも幸せだよ
誰が入って来たとしてもね…
「げんいちろー…」
君の下の名前を呟いた。
どうしてそんな無邪気に恥じらう事なく呼べるの?
そんな勇気は何故生まれる?
もう見る事ない景色も、これから覚える道も一つじゃないのに。
「どうした幸村…。」
「フフ…」
ねえ…今度は君から、愛してる? って聞いて。
答えはわかっているけど。
「左助くん、オジサンと俺は今からもっとイチャイチャする予定だから出ていきなよ」
「…あ、うん」
「幸村…っ」
だから今日も、変わらず愛して。
甥が去ってく、様子を伺う。
俺はそんな君の姿をただただ見つめる。
「やっぱり俺、真田がすごく好き」
「……わかってる」
こうして二人並んで座る。
幸せ。
だけど幸せ過ぎて、実は今日が最後になるんじゃないかっていつも想う。
だから少し切ない。
愛が離れていかないうちにもう一回、もう一回抱きしめてよ。
そうだね、早急に愛し合わないと愛が消えてしまいそうだから。
「幸村…俺だってお前がだいす、うん」
「濁さないでよ」
「ああ、好きだよ…幸村」
君はそう言ってキスをする。
俺はそんなのわかってる。
だから待つよ、君からのキス。
瞳を閉じてじっと待つ。
君が恥じらう時間、息をする速さ、赤い頬
全部お見通しなんだよ
だって一番好きだから。
ほら、君の唇が触れた。
愛し合う二人だから出来る事。
お願い、だから一緒にいてね。離さないでいてね。
君の首に噛みついたらもう離れないから。
指と指を絡ませた。大好きな人と手を繋ぐ。
窓から入る風が指先に余した部分を優しく冷やす。
全ての事が本当。
隣同士。
…10秒会話が止まったら俺はいつも、確認する。
「俺の事、愛してくれてる?」
ただ嬉しい。幸せなんだもん。
だからね、君もきっと同じだから…俺のこの言葉を待っているのをわかってる。
俺が聞いたら君は変わらず答えてくれるよね、
“世界で一番、愛してる。いつだってずっとお前を想っている。”
(2010/09/22)
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