抑え込んだ恋心

「ご主人様!起きて下さい。遅刻しますよ!!」


「う〜ん……まだ……」


「だめです!起きて下さい!起こさないと私が旦那様に怒られますから……きゃっ!」


「六臂さんも一緒に寝ましょうよ。」


「ひゃっ……!やっ!いい加減にして下さい!!」


眠そうな主人の身体を揺さぶれば布団に引きずり込まれそうになり、聞き分けのない主人に六臂はバシンと平手打ちを食らわす。


「っ……!痛いです六臂さん……」


「ご主人様が悪いんです。ほら早く起きて下さい。着替え手伝いますから…」


「六臂さん、2人きりの時くらいご主人様は止めてくれませんか。」


「あ……ご主人様離して下さい。ご主人様は私の雇い主のご子息なんですからお名前でなんて呼べません。」



観念して立ち上がったかと思えば後ろから抱きしめてくる月島に六臂はジタバタともがくが月島は六臂の豊満な胸を揉みしだきながら耳元で囁き力が抜けそうになる。


毎晩のように抱かれている身体はそんなことでも反応してしまうのが憎い。


「昔は月ちゃんて呼んでくれてたじゃないですか……」


「今と昔では違うんです……お願いですから離して下さい。」


「はぁ……六臂さん今夜も来て下さいね?」


「わかりました。」

六臂は月島を着替えさせると部屋を出て行き、月島は再び盛大に溜息を吐いた。

月島と六臂は幼なじみだった。
六臂の母親が六臂を連れて住み込みで月島家でメイドとして働くようになり、六臂の方が2歳年上だったが月島と六臂はすぐに仲良くなった。
月島は六臂に一目惚れし、それからずっと今まで六臂のことを想っている。
どんどん綺麗になっていく六臂に胸がざわついて仕方なかったのだ。
しかしそんな2人の関係も変わってしまった……


六臂が高3の時に六臂の母親が亡くなってしまったのだ。
身寄りが母親以外になかった六臂を月島の父親は卒業まで面倒を見ることになり、高校を卒業し六臂はメイドとして働くことになった。


それからは月島をご主人様と呼ぶようになりよそよそしくなってしまったのだ。

月島はそれがショックだった。
ご主人様と呼ばれイライラし、じゃあメイドなんですから何でもいうこと聞くんですよね?と固まってしまった六臂を押し倒し無理やり抱いたのだ。


情事の間六臂は啜り泣いて震えていた。結合部からは血が流れ身体が白く汚れ、行為が終わると虚ろな眼をしてハアハアと荒い息をしていて月島は自分が最低なことをしてしまったと後悔した。
なのに出てきたのはこれから毎日ヤらせて下さいね?と最低な言葉だった…
こんな形でも六臂を自分のものにしたかったのだ。
それからは六臂は毎晩自分の部屋に来るようになり月島は六臂の身体を貪るように抱いた。
六臂はいつも抵抗もせずされるがままだった。
それが月島には悲しかった。
自分が主人だから脚を開いて身体を差し出しているということなのだから……



身体が熱い……月ちゃんに抱きしめられて身体が火照ってる……


毎晩のように抱かれるようになってもう1年くらい経つのだ。身体は完全にもう月ちゃんに染まってしまっているのだ。

自分だってずっと月ちゃんのことが好きなのだ。初めて会ったあの日から…
とても優しくてメイドの子の自分を見下すことなく友達になってくれて、母さんが仕事が遅くまで終わらなくて寂しかった時には遊びにきて一緒に寝てくれて……


大きくなったら僕のお嫁さんになって下さい!


子供の戯れだけどそう言われた時は嬉しかった……


だけど今はそんなことは無理だと知っている。


もっと早く距離を置いておくべきだったのだ。


なのにこんな関係をズルズルと続けているのは月島に抱かれるのが嬉しかったのだ……


六臂は月島が自分のことを好いていてくれるのを知っていたのだから。


だけど月島はきっと親が決めた相手と結婚することになる……
そんな日が来ると知っているから六臂は月島に想いを告げることは出来なかたのだ……


初めてを月ちゃんに上げられたんだからもうそれだけで幸せだと六臂は思うことにしたのだ。
たまに辛くて泣くこともあるけれど……

「あ…いたいた!六臂ちゃん!」


「はい。何ですか?」


六臂を目にするとメイド仲間が走って来る。


「旦那様が六臂ちゃんを呼んで来るようにってさ。何か話があるみたい。」


「旦那様がですか?わかりました。すぐに向かいます……」


六臂は主人の部屋に向かう。

何か嫌な予感を覚えながら……



「旦那様、失礼します。」


「ああ、来たか。まあ、座りなさい。」


座椅子に座るよう促され六臂が座ると主人も向かいに座った。


「あの…お話って何でしょうか?」


「ああ…君にはここを辞めてもらいたい。就職先も紹介するからその辺は安心してくれ。」


「え……何故ですか!?」


「あれももう18になるし婚約させるつもりでね。わかるだろう?君が側にいると困るんだよ。あれが君を好いているのは知ってるんだろう?私だって君が娘のように可愛いとは思っているがそれとこれとは別なんだよ。住む所も当面の生活費も用意するから明後日には出て行ってくれ。」


「わ…わかりました。失礼します……」

六臂は頭が真っ白になりそうなのを必死に堪えて部屋から出た。



ああ…こんなに早く離れる日が来てしまうなんて……
わかっていたのにこんなにも苦しい……
部屋に戻ってくると六臂はベッドに突っ伏す。目から涙が溢れて止まらない……
もう月ちゃんの隣にはいられないんだ……
悲しいけど荷物纏めなきゃ。
どんなに悲しくてももう此処にはいられないのだから……




「六臂さん今日上の空ですね。」


「え…あ……ごめんなさい……」


「ちゃんと集中して欲しいですね。」


「あぁ!や……深い……ふぅっ!」


いつものように夜部屋を訪ねて身体を貪られていたけれど上の空だったらしく乱暴に揺さぶられ六臂は悲鳴のような声を上げる。


「僕に抱かれてる時くらいは僕のことだけ考えてほしいなぁ……」


「ひんっ!あぁぁん……んんっ!!」


月ちゃん…私いつも月ちゃんのことばかり考えてるよ?月ちゃんには気づかれないようにしてたけど……
月ちゃんに抱かれるの大好きなの……
もう会えなくなるからいっぱい月ちゃんを刻み込んで?

「んんっ……?ろっ……ぴさ……ふぅ……」


「んんっ……ご主人様ぁ……」


「何かいつもと違いますね……上の空かと思ったら自分からキス仕掛けてきたりして…まあいいですけど。六臂さんイきますよ?」


「あぁー!ご主人様ぁ……ふぁぁ!!」


月ちゃん……好き……大好き……


月島と同時に達する瞬間六臂は涙を流した。



「よし!これで終わった。明日出てけって言われたけど朝じゃ月ちゃんと顔合わせるし夜中の内に出て行った方がいいよね……」


スーツケースを持ち六臂は立ち上がり部屋を出て玄関まで来るがドアの前に月島が立っていて足下が凍りつく。


「六臂さんどこ行くんですか?」


「ご主人様……何で……」


「父さんから聞いたんです。六臂さん、戻りますよ?」


「きゃあっ!?ご主人様降ろして下さい!!」


月島は六臂を担ぎあけると無言で歩きだした。そして部屋に入るとベッドに六臂を放り、覆い被さり服を引き裂いてしまう。


「やっ…何するんですか……!?」


「何ってわかるでしょう?いつもしてるんですから……」


「嫌……ご主人様怖い……!」


無表情で見下ろしてくる月島に怯えれば下肢に熱の塊が押し当てられ六臂は月島を押し退けようとするが敵わず押さえつけられてしまいそのまま慣らしていない膣内に一気に挿入される。


「ひっ……!いやぁぁぁ!やめて痛いっ!!動かないで下さい……」


いくら仕込まれたとはいえ慣らされずにされては痛くて六臂は苦しげな声を上げ懇願するが月島は止める気は毛頭ないようだ。
しかししばらく突き上げられていれば段々痛みの中に快楽が生まれて来て声に艶が混じり出す。


こんな強姦のように乱暴にされているのに身体は感じているのだ。


「あぁ……だめぇ!そんなにしないでぇぇ!!」


「六臂さんは淫乱だなぁ……こんな淫らな身体をしてるくせに僕から離れるつもりなんですか?」


「ひゃん!ちがっ……私淫乱じゃあ!やっ……何熱い……」

「ああ。今日はゴム着けてませんからね?」


「っ!?そんなぁ……いやぁ!抜いてぇ!!」


月島の言葉に六臂は真っ青になり、身体を離そうと必死に抵抗するが中の自身が質量を増し腰を強く打ちつけられる。


「中出しますよ?」

「いやぁぁ!中はぁぁ!!あぁぁ!らめぇぇ!!」


自身が中でビクビクと震えたかと思えば熱い精液が流れ込んできて六臂はぐったりと力が抜けてしまう。


「ひどい……こんなの……」


「六臂さんが悪いんです。僕から離れようとするから……そんなに僕が嫌いですか!?身体さえ繋げば僕のものになるかと思ったけどやっぱりだめなんですね…貴方は僕が主人だから仕方なく脚を開いて……」


「っ……!違います!私だって……」


月島の言葉に思わず口に出してしまいそうになるが六臂は慌てて口を押さえる。


「六臂さん?私は何ですか?」


「何でもないから忘れて下さい!」


「言うまで犯されたいんですか?」


「っ……!?」


「あ…ごめんなさい……でも僕は六臂さんがずっと昔から好きなんです。六臂さん以外との未来なんて欲しくないんです……って、六臂さん!?何で泣くんです!?」


涙をポロポロと零す六臂に月島はオロオロする。


「…………私だってずっとご主人様のことが……でも旦那様が許すわけ……だから……」


「だから僕のことご主人様って呼んで離れようとしたんですか?」


「だって私ただのメイドだし……ご主人様がいつか他の人と結婚するってわかってて好きだなんて言えるわけ……」


「六臂さん!僕婚約なんてしません!だからずっと側にいて下さい……」


ギュッと腕に抱きしめられ六臂はオロオロとするが月島は優しく見つめる。


「父さんは絶対説得します。だから…出て行かせなんてしませんからっ!六臂さんはずっと僕のなんですからね……」


「うん!月ちゃん大好き……」


「やっとご主人様って呼ぶの止めましたね。」

「あ……」


六臂は思わず赤くなり月島と笑い合う。


「じゃあ六臂さん行きましょうか?」


「うん!月ちゃん!!」


そして父親を何とか説得することが出来、思わず泣き出した六臂を月島がオロオロしながら抱きしめるのだった。

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