本当のお嫁さんにしてください
静雄が社会人で臨美ちゃんは高校生です。




大好きな人のお嫁さん。それがこんなに早く叶うなんて…



「シズちゃん起きて!朝だよ?」



「ああ…もうちょっとだけ。」



「だめだよ。遅刻しちゃうから。」



「わかったっての。」



起き上がった静雄の手を引き臨美はリビングまで歩いて行く。
これだけを見ればよくある夫婦の朝の風景の様だが、臨美はセーラー服を着ていた。



「じゃあ行ってくる。」



「行ってらっしゃい。今日も遅いの?」


「ああ。先に寝てろ。」



「うん…」



静雄を見送ると臨美も支度をして学校に向かった。






静雄と臨美は幼なじみで8歳歳が離れていたが静雄がよく臨美の面倒を見ていたこともあり臨美は静雄のことが大好きだった。


静雄が就職し一人暮らしを始めてからは会う機会は減ったものの、臨美はよくご飯を作りに行ったりして会いに行っていた。



しかし、臨美が高校に入学して1ヶ月程した時臨美の両親が海外に転勤になり臨美も連れて行くつもりだったらしいが臨美は絶対に嫌だと静雄の家に転がり込んで来て、静雄も一緒に臨美が池袋に残れるよう頼み静雄のことも息子のように可愛がってくれていた臨美の両親は静雄君も言うならと折れたのだがその際にとんでもない条件を出されたのだ。



『臨美と結婚して一緒に住むこと』



それが臨美の両親の出した条件だった。
静雄君と結婚させておけば安心だということらしく静雄の両親も喜び、静雄もそれで臨美が残れるならと条件を飲み、臨美は16歳で高校生でありながら静雄の妻となったのだった。



昔からずっと静雄のことが大好きだった臨美は突然の結婚にびっくりしてしまったけれど嬉しくて仕方がなかった。夢だったシズちゃんのお嫁さんになることが出来るなんて…
始めは幸せでいっぱいだったのだ。



「ねえ、新羅。男って女の子とエッチしなくて平気なのかな?」



「ぶっ!突然何言い出すんだい…」



「だってシズちゃん手出してくれない。」



静雄は結婚し同居し始めてから一度も臨美を抱いていなかったのだ。
初夜の日に臨美は緊張しながら待っていたのに静雄は軽くキスをしそのまま眠ってしまったのだった。
その日はたまたま疲れていたのかと臨美は思ったのだが、それ以降も静雄が臨美を抱くことはなく臨美は不安になっていた。
更に最近は仕事が忙しいのか帰りが遅くてあまり話せていないのだ。



「シズちゃんって例の旦那さんかい?君がまだ高校生だし気を使ってるんじゃないのかな。怖がらせたくないとかさ。」



「気なんて使わなくてもいいのに。私シズちゃんになら何されてもいいのになあ。」



「なら君から誘ってみるとか。僕もセルティに誘われたりしたらたまらないしね!」



「ふうん…ありがとう!新羅!頑張ってみるね!!あ、今日買い物してかなきゃだ!じゃあまたね新羅。」



慌てて走り出した臨美を見て新羅は恋する乙女だなあとクスクス笑っていた。



「ただいま。」



「シズちゃんお帰りなさい!」



「起きてたのか。先に寝てろって言ったろ。」



「明日学校休みだし平気だもん。お風呂沸いてるから入って?」



「ああ。」



「着替え持って来るね。」



「悪いな。」



静雄はスーツを脱ぎそのまま風呂場に向かう。



「はあ。やべえ寝ちまいそうだな。」


湯船に浸かりながらウトウトしてしまっていて静雄は溜息を吐く。
最近あまり眠れていないのだから仕方ない。



臨美がいつも待っていてくれるのは嬉しいし臨美のことは可愛い。しかし静雄に取ってこの新婚生活は拷問のようなものだった。



「上がるか。」



Tシャツにジャージを着ると静雄は寝室に入る。先に寝ていたらいいのにと思った静雄だがドアを開けると柔らかい感触がぶつかり見下ろせば臨美が抱きついていて柔らかいのは胸の感触だと言うことに気づき顔が熱くなる。



「臨美!何して……」



臨美はスケスケのベビードールを纏っていて。透けた乳首がイヤらしく浮かんでいた。



「シズちゃんが抱いてくれないから私から誘うことにしたの。シズちゃん抱いて?」



切なげに見上げるると静雄の手を胸に導く。
こんな真似本当は恥ずかしくて仕方ないけれどシズちゃんに抱いて欲しい。
そんな想いでいっぱいで臨美はギュッと目を瞑るが、静雄は臨美の身体を押し離れてしまった。



「シズちゃん?」



「悪い。疲れてるんだよ……」



「あ……」



「俺寝るから。」



静雄はベッドに入ると臨美に背を向けてしまい、臨美は目の前が真っ暗になってしまい部屋を出た。



どうして?シズちゃんは私が好きじゃないの?だから私を抱いてくれないの?
結婚してくれたのは私が海外に行くのを嫌がってたから同情したの?



考えたくなかった現実を目の当たりにして臨美は悲しくて涙が止まらなかった。
シズちゃんと離れたくなくて海外に行くのが嫌だったのにこんなことなら結婚なんてしなければよかった。
臨美は座り込み泣きじゃくった。



たくさん泣いてしまえば段々と頭は冷静になってきていた。
これ以上一緒にいても辛いだけだ。だから母さん達のとこに行った方がいい。
とりあえず臨美は荷物を纏め始めた。



「よし!大体終わった。ん?何だろこれ。」



空になった引き出しの下に敷いてあった紙を手に取ると臨美は固まってしまった。



「これ……」



やっぱりシズちゃんは同情で結婚してくれたんだ。
臨美はその紙をしまい引き出しを閉じた。
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