薔薇色ドルチェ

  _この気持ちの色を表すなら、薔薇色。琴を弾く様に軽やかで時に泥々しく_




  
   
 


「元親…」

大好きな大好きなあの子が俺の名を呼ぶ。
二人きり。
誰も居ない俺達だけの領域。

「政宗」
「チカ…もぅ…」
「もう?なんだよ」
「もっ…んん…」
「ああ。そろそろ…」

事に及び初めて三十分余、まだ一度も達していない政宗が願い出る。
愛撫するだけの恋人。
そんな政宗の姿を薄ら笑いで見て愛撫し、ギリギリの所で寸止め。
唇以外の箇所に口許けされた身体は薔薇の花弁が散ったように政宗と云う名のカンバスに彩る。
薔薇の刺青が入っていたら、と元親は思う。
狂っている事は承知。

「(お前に狂って激しく散って逝くなら本望かもしれない。政宗は俺のモノだ)」


「ぁ…、チカ、チカぁ…」
「何が欲しいか云えよ…そしたらイイぜ?」
「あ、…違…も、少し…右…ぁああ」
「早く欲しいモン云えって。じゃねぇとずっとイけず仕舞いだぜ?」
「…意地、悪ぃな…部下の気持ち…が思いやられ─痛っ」

元親が政宗のモノをギュッと握り、射精をさせないように先端を指で留めた。
元親を睨み付ける政宗の顔は、男を煽るものでしかない事を知らない。
戦場での彼ならば、独眼竜の睨みで敵兵を威嚇するのに充分過ぎる効果を持っている。
しかし、此処は戦場ではないのだ。
ある意味、戦場だと呼べるかもしれないが。
元親の寝所で行われている行為は清いと例えるには、本質的に違う。
男同士の性行為などと常人から見れば笑われる。
視線は軽蔑に値されかねない。
だが、誰も二人の恋路の邪魔立ては出来ない。
独眼竜と西海の鬼。
知られたら、と以前元親は政宗に問い掛けてみたが、「それでも構わない」と一蹴した。
寧ろ、「日ノ本全土に広めろ」と云い出した時には、必死で政宗を止めた記憶がある。
そんな事されたら、天下ではなく、政宗を巡って死闘を繰り広げなければならなくなりそうだと元親は内心思う。
この関係を知っている人物は誰一人として居ない事が幸いである。

「残念だが、可愛い野郎共には滅法信頼されててな、意地悪ぃ事も笑い話で終わっちまうのさ。てか、お前限定って知ってるか?」
「ん、だよ…俺限定って…」
「言葉の意、そのままさ。独眼竜。お前限定で虐めたくもなるし、愛し過ぎて滅茶苦茶にしてやりたくもなる。恋は盲目って云うじゃねぇか」
「な…にが、盲目だ…狂ってやがる…」
「薔薇って知ってるか?舶来の花なんだってよ。商人がさ「好いてる女子に薔薇を差し上げると喜ばれますよ」なんて云うもんだから、試しに買ってみたんだ。ほら、其処の掛け軸の下、一輪咲いてるだろ?花言葉は─」
『灼熱の恋』
「だろ?」
「!?知ってたのか?」
「奥州筆頭…の、名を馬鹿にするな…それよりも─!っチカ…、」
「指だけでイきそうか?」
「んん…」
「三本目いけそうだな」
「んあ、ふぅ…ん…」

元親の胸元にしがみ付き快楽に耐える。
政宗の顔を見れば物欲しそうな目で男を見る。
愛撫だけでこんなに乱れてしまうのだからもう堪らない。

kiss、しろ…よ、まだ一度も…してねぇだろうが
「きす?」
「ぁん…口許の事だ、馬鹿鬼」
「馬鹿だぁ?んじゃぁお前は淫乱な竜だな」
「あぁぁっ!!ちょっチカ…」
「お仕置きだ。口許なんかしねぇで、いや、フェラでイかせてやるよ」
「やめ…ああ…チカ、の口…中、あったかぃ…」
「イきたかったんだろ?イけよ」
「あ、あ、イく…ああぁああ!!」

ピュルルと元親の咥内へ射精した政宗は荒い息を吐いてぐったりした。

「本当に口でイったな。可愛い奴
「はぁ…はぁ…」
「こっからが本番な」

指にも付着していた政宗の精液を舌で救い唇を重ねた。

「んふ…〜〜っ」
「お前の味だぜ?」

「っは、苦…」
「良薬口に苦し、ってな」
「安芸の海へ沈めさせてやろうか?」
「勘弁。何で安芸なんだよ?どうせなら、政宗の中d…んん」
─chu─
「黙れ。黙って元就さんトコの海で沈んでこい」
「今…政宗から…」
「っ///shit!!もう良いから、早く続きシろよっ」
「プ。照れ隠し
「quiet。嫌なら出て行け」
「え〜、出て行ったら小十郎さんに相手させんだろぉ?絶対ぇヤダ」
「どうして小十郎が出てくんだよ」
「俺が居なくて寂しい時は小十郎さんとシてんじゃねぇの?」
「もう片方の目玉刳り貫くぞ」
「はは…やっぱ政宗は可愛いなぁ
「そう云うチカは元就さんとヤりあってんじゃねぇの?」
「俺がぞっこんなのは独眼竜、伊達政宗だけだ」
「どーだかな…」
「信用してねぇなら、本気でお前を抱くぜ?」
「ha、そうかい。本気出して来いよ。受け入れてやる」

両者どちらともなく唇を重ね、布団の中へ沈んでいった。





「あ。」
「んだよ」
「其処の障子の一番下、穴開いてるだろ?」
「yes、知らなかったな…気にすんな。今はコッチ、だろ?」
「おう。そしたら聞き流してくれ」
「??」
「其処の穴からピーちゃんが見てんだよ」
「what?!あのオウムの野郎、覗き見か?」
「おーい。ピーちゃん」

呼ぶと、その穴から障子をバリバリ破いて出てきた。

「マサムネダイスキ。モトチカキバレ(気張れ)」
「ピーちゃん(じーん)」
「オウムに何吹き込んでやがる」
「別に吹き込んじゃいねぇよ。俺の押さえ切れない心の声がピーちゃんにも届いたのかもなぁ」
「嬉しそうに云ってんなよ。どーすんだよ。これじゃ気が散る。そのオウム目隠ししてやる」
「だぁめ、ピーちゃんを虐めたら俺が許さない。目隠しなら、政宗がすると良い。な?ピーちゃん」
「アニキノイウトオリ」
「チカ以外の言葉も覚えてるのか?」
「ああ。元就や色々な」
「ニチリンヨー。ステゴマ」
「気ぃ取り直してイクぜ?」
「come on―「スキニシテ」」
『ん?』

二人の声が重なる。

「誰の台詞だよ?」
「さぁ」
「まさか、浮気…」
「ニチリンニチリン」
「って事は…元就さ─うわっ」
「んな訳ねぇだろ?商人が知らない間に変な事吹き込んだらしいって野郎共から聞いた。ったく覚えて良い言葉と悪い言葉があるよな」

─ドサ─

元親が政宗を押し倒す。
そして乱暴に抱かれ、二人はピーちゃんを気にする余裕も無くなる程欲に溺れて行った。









終。
2010*09*28
途中からギャグテイストになってしまいました。
ピーちゃんの名前が分からないので、保健室の死神に出てきたキャラの名前を拝借させて頂きました。
多分、これからもピーちゃんて呼びそう。
第一弾はダテサナと決めていた筈が、チカダテになりました。



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リゼ