目線
  
   
 
設定/現代パラレル。幸村一人称「俺」慶次の座席、一番後ろ窓側。元親隣町高校。




  目線




 あの目線には気付かないフリをしていた。そう。気付きたくなんかなかったんだ。




入学して、が過ぎた。世間ではGWなんて連休があって、でも季節はまだが漂う。いていてく。


俺もを満喫するか〜なんて考えてたんだけど、生憎、をしたい相手には恋人が居た。とても可愛らしくてまさにお似合い。名前は『片倉景綱』皆からは「片倉先生」や「小十郎先生」って呼ばれてる。

そう。
をする相手を間違えていたのかもしれない。教師を相手にをするだなんて。年齢差はあんまり気にしないけど、男だし***自分で分かっていた。片倉先生を目で追い掛けているのは。それが先生には気付いていないのに確実性があったから、視界に映る、他人にも不信がられない程度に必死に追い掛けている自分がいる。多分、入学して間もない位から。俺が恋していないと不安で仕方ないのは自負してるからまた始まったか、と思った。今度は相手が男なだけな話である。やはりとは俺を楽しませてくれる。クラスの女の子達にも可愛い子もいるし、その子にも、勿論をしている。クラスメイトの元就に相談(内容は片倉先生以外で)したら、「女と勝手にをして死ね」と冷たくされ、幸村には「え〜?"俺にしてくれる"の間違いじゃないの?」なんてからかわれた。相談する相手を間違えていたが、今迄、他人に自分のについて相談した事なかったもんだから、参った。腐れ縁で隣町の高校に通ってる元親にでも…って結果は同じか。


−−頑張れ、せよ俺−−




気付かないフリは数日前から確実にフリではなくなってきていた。


それを確かめる為に、先生に目線を追い掛けいないようにしたんだ。でも自然に追ってしまう。昨日は先生の授業で黒板に書かれた問題をノート写しているとき、居残り中に一番後ろの窓際から部活で汗を流している先生を思わず見てしまった時に目が合った。ドキっとして、すかさず顔を逸らした。今日は先生の授業はなかったけど、部活はあった。ほぼ毎日補修組。テストがなければ、吹奏楽部と陸上部に交互に出るんだけど、テスト週間になれば、俺と幸村と数人のクラスメイトは補修組に徹する事になる。そして、今日も目が合った。二度。授業中ならば何度か目が合ってもそこまで不思議に感じられはしないが、教室からかなり離れた距離のグラウンドの人物に何度も目が合うのは−あっちもこちらを見ている−と感じられずにはいられない。しかも、一番最後にが線合った時には笑ったのだ。何かを意図したような笑みだった。ふわりとする笑みではなかった。何故か意識して顔が赤くなった。こちらを見ながら、自分の指の甲で頬をトントンと当てたので、俺の顔が赤いと指摘してきた。こうなったら、あっかんべーをしてごまかすしかなかった。照れ隠し。自分の座している所だけ、カーテンを閉めた。数b離れた席の幸村がカーテンを閉めた音に振り向いた。「どうしたの?」と口パクで聞かれたので、「太陽が暑くて」とこちらもごまかして、ノートを千切り放った。そしたら「俺の隣に座れば太陽の光は届かない」と返ってきた。

−それじゃ、サボれない−
−補修てもサボる気?−
−だって眠い−
−単位取れないよ−
−まだ大丈夫−
−いざとなったら、俺が教えてあげる−
−冗談でしょ?幸村に教わったら俺、マジで凹む−
−凹みたいなら凹ましてあげる−


何度か投げあっていたら、遂に先生から拳骨を喰らった。

『痛って〜』
と二人して悶えていると、都合良く補修終了のチャイムが鳴った。

「今の所、月末試験に出すからきちんと理解しておくように。特に前田と真田!!」
耳がビリビリするような武田先生の怒声が教室に響いた。


グラウンドを見たら、やはり目が合った。あれで最後だと思っていた。頻繁に合うのは相手からもこりたをみないとこうにはならない。



せよ俺」

目線が合っただけで、こんなにドキドキするなんて…明日からどうしよう。



「…片倉先生…」










終。
2011*02*12
初、小十慶。
幸村の一人称を某から俺に変更。
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