水冷めて空へ

 ─温かい水がやがて冷たくなる。熱を加えない限り、温かくはならない─


    

  





 この想いが私を迷わす
 この気持ちが私を高揚させる
 この高鳴りが私を惑わす


収まらぬ警鐘は私の胸に鳴り響く
危険だと
甘美だと

あの少年の心は冷たいのだろうか?
あの少年の身体は温かいのだろうか?


 この想いが私を迷わす
 この気持ちが私を高揚させる
 この高鳴りが私を惑わす


     


私は今、ユニオン軍内のシャワールームに一人考えている。あのガンダムと少年の事を。頭から冷水を浴びる。先程SBと戦闘し、未だに高揚している気持ちと火照った身体を冷やす。SBの事となると余計、気持ちが高ぶるのだ。


人は心を奪われたモノに対する執着な程反応する。個人差はあるが、私はソレに魅入られ、憤り、愛する事を身に付けた。歪んだ愛なのかもしれない。だが、私は私である。歪んでいると指摘されても我が道を貫く。
 嗚呼、この手に入るならば
 どんな手段でも使いたい
 この手に入るならば


冷たい水は、熱すれば温かくなるだろうか?

私の熱で
私の愛で
君を歪ませてみたい
キスをしたらどうなるのだろう?
身体を組み敷いたらどうなるのだろう?

 この肌に君を感じてみたい
 この肌で君を突き堕として
 絶望の花畑に連れて行きたい




「嗚呼。…早く手に入れたい」


水は冷めたら、空に飛ばしてあげよう
命を散らした仲間への手向けの水の花束を







END.
2011*04*17
-umi-
グラハム独白。
グラハム→刹那。
2011*11*20
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