そう。全ては終わった



何の全てが終わったのか







「俺達、終わりにしましょう」

「どうしたの?」

「だから、「何を差して、終わりにしたいのかな?」



言葉に詰まる。そうだ。俺達の関係は端っから始まっていない。と、思っているのは俺だけだった。目の前に居る人は出会った時から関係は始まっていると断言した。確かに、一理ある。だが、俺は、この人とは必要以上関係を持ちたくなかった。なのに、今では恋人の様な関係でいる。聞こえは良い気がするが、身体だけの関係。人恋しかったり、寂しかったり、何かあれば、会い、そのまま…情事に至る。



「単なる身体だけの関係でしょ?俺達はさ。それ以上でもそれ以外でもない」


「…そうですね、臨也さん」

「だから、始まってないんだよ。恋人みたいな関係は」


俺は抱かれた時に、少しでもそんな気持ちを抱いていた、だなんて悔しかった。臨也さんはそんな事微塵にも感じてはいなかったのだから。俺の一人よがり。勝手な妄想でしかなかった。



「だから、"終わりにしよう"なんて台詞、この場では使わない。使うなら…そうだな。"これから始めましょう"かな?恋人みたいな甘い関係を。君が望むならね」
「え」

「え、じゃないよ。恋人になってあげるって云ってるの。んで、君が彼女役。」


「何?不満?まさか俺が女役をしろとでも?」

「それを望みます」

「冗談じゃない(笑)君を犯すのは俺なの。俺以外には有り得ない」
「有り得ない事なんて有り得ないです」

「は?何ソレ」

「門田さんの中の人が演じてるキャラの台詞です(確か)」

「ドタチンの中の人?」


「プ、面白い台詞だね。あー面白いε=(>ε<*)プッ」

「一回、死にます?」

「嘘嘘。あ。でも、君が男役の方が変な虫は付かないかな?」

「殺しますよ?」

「シズちゃんみたい。でも」



臨也は正臣の顎を掴み、自分の方に向かせる。もう片方の手は腰に回した。


「!」

「でも、結局は君が男女どっちでも付く虫は付くんだよね。あー妬けちゃう!!所作はドタチン、言葉遣いはシズちゃん、無意識に誘うのは帝人君、あどけない可愛らしさは杏里ちゃん。何かどっか彷彿とさせるんだよねー。皆の愛情で育っているって。育て親に似るって云うじゃない?」


「いざ―」

「さぁ、お黙り」










   ―終わりにしよう、だなんて甘い言葉は不要。だって始まってもいないのだから。これから、詐りのを始めよう―


















終。
2010*08*02
-umi-
- 14 -

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