死んでからのRequiem

死んだら、俺達は何処に行こうか?




 きっとさ、死んでも俺達は、互いを殺すまで殺し合うんだろうね







  んでからのRequiem







「…胸糞悪ぃ…」



「あれ?どうしたの?気分悪い?」



喧嘩の最中、突然体調不良を訴えた静雄。それを演技だと思い、臨也はカッターナイフを静雄目掛け突き刺そうとしたが、静雄が側にあった自販機を持ち上げ、臨也目掛け投げる。つもりでいた。



「?!…ぅ…」

「投げないの?シズちゃん懐がら空き…って…うわっ!」




ガッシャァアン!!!!



と大きな音を立て、落ちた。近付いた臨也の隣に自販機が落下。静雄はその場に蹲る。



「ちょっと。折角、シズちゃんが投げた自販機を、俺が華麗に避けようとしてたのに。俺がシズちゃんに近付いた時に落とすなんてどう云う事?絶対アレの状況ならブン投げると確信して、計算して近付いたのに…アッサリ…。お陰で、見て?頬、擦りむいちゃったじゃない。」



自販機が隣に落ちた時、臨也の頬に掠り傷を作った。血は出なかったものの、予想していなかった傷に臨也は眉に皺を寄せる。




「良い顔が台無し〜…責任取ってよね」




蹲ったままの静雄に近付く。腕一本分の距離を置いて。掴まれそうになっても、腕が届かなければ大丈夫。自販機は持てないけど。何で弱ったのかは良く分からないけど、今のシズちゃんになら傷を沢山残せそうな気がする。




−ザリっ−





近付いても、鋭い反応はなし。試しに足で仰向けにさせる。ゴロンと大きな物体は臨也に無防備な身体を見せる。普段なら、こんな平和島静雄など在りはしない。敵を懐に忍ばせるなど、有り得ない。のだが、明らかに様子がアッサリ過ぎるので、臨也は静雄で遊ぶ事にした。




「シ〜ズ〜ちゃ〜んw」



―反応無し―



「愛しのシ〜ズちゃ〜んww」



―反応無し―



「好きだよね?俺の事、さ?俺はシズちゃんの事、好きだよ?好きで好きで好きで好きで、大っっ嫌い!!!!99.9%のうち0.1%が好きなの。だから大っ嫌い!俺を弄ばないでよ。ちゃんと相手して?」




―反応無し―




「このままだと、本気で殺すよ?流石に、首、切られたら死ぬでしょ?」




―反応無し―




本当にどうしたのだろう?こんなにも反応が無いなんて。息はしてるけど、苦しそうな顔してる。幾ら、怪力なシズちゃんでも、身体の内面的な不調には勝てないのかな?可愛い所、また見つけちゃったw





「ではシズちゃん、最期の時…」



「"さようなら"」




台詞を、強調し、臨也は静雄に跨がり、首にナイフの刃を付ける。鋭利な刃は静雄の首に食い込み、血を滲ませる。流石に今回の行動で静雄は、臨也に反応した。




「…よぉ…臨也君…コレは何の真似だ?」




首切らに付けていた手を握り、俺を睨む。既にブチ切れ完了しちゃってるよ、シズちゃん。ヤバいな…調子に乗って、怒らせちゃった。でも怒らす為に、やってたんだから。成功成功。



静雄は首に付けられていたナイフを持つ青年の手を掴む。力を加えると、臨也は痛みでナイフを地面へ落下させてしまった。





「ぃっ…シズちゃん、大丈夫ぅ?」




業とらしく云うと、静雄はグルっと体勢を反転させた。臨也の首を掴み、息の根を止めようとしている。





「ぁ、く……シズ、ちゃん?苦し。ち、から緩めてよ…」



静雄は少し力を緩める。



「手前、今俺を殺そうとしたな?ああ?」



「ケホ…何云ってんのさ、俺達、殺し合ってるんだから当然でしょ?でも、良かった。あのまま…アッサリポックリ死んじゃったらつまらないし?流石シズちゃん。しぶといよね…何で弱ったのかは知らないけどさ。いたぶられないのは残念だよ…」



「…胸糞悪ぃんだよ!」

「何に?」

「手前に」

「嘘。他にあるでしょ?」



臨也は首を掴んでいた手を持ち、自らの口に運ぶ。舌で指を舐める。一本づつ。静雄の指が臨也の唾液だらけになると、そのまま、手で服の裾をめくり上げる。胸元までめくられた姿を見て静雄は興奮する。



「やだ。ガン見?シズちゃん…抱きたいでしょう?良いよ?抱かせてあげる。その変わり、その胸糞悪い理由聞かせてよ?」


「ガン見なんかしてねぇよ!!」

「うっそ。俺の痴態見て興奮した癖に。素直じゃないんだから」

「黙れ」

「ゃんっ」

「うぜー声出すんじゃねぇよ。もっと色気を…!?」



静雄は慌てて口に手を抑える。



「どしたの?…分かったぁ。色気のある声出せとか云おうとしたんでしょう?…シズちゃんてムッツリィ。隠さないで、素直に云えば良いのに。そしたら、俺の喘ぎ声だけでシズちゃんをイかせてあげるのに…」



「黙れ」



「ぁあ…っ」




乳首を抓ると、臨也は感じた声を出す。




「シズちゃん、こーゆー声でしょ?今のさ。で、理由は何なの?」



「っ知らねぇよ…賞味期限切れのスナック食べたら、腹がムカムカしやがる」



それを聞いた臨也は大爆笑した。こんな平和島静雄でも、食あたりみたいな現象が通じるとは意外である。




「プっアハハハ!!!!まさか食あたりみたいな現象がシズちゃんに通じるなんて…くく…これは傑作だ…ウケる。で?どの位切れてたの?賞味期限」


「…二ヶ月位」


「そんなんで?俺より腹弱いんじゃないの?俺は半年は平気だったけど?…ウケる!!」



腹の強さで、臨也に負けた事が悔しくて、噛み付く様なキスをお見舞いしてやった。



「ふっ…んん…情、熱的…だね。シズちゃん」


「黙れ」



「あっ///やだ…」



静雄は臨也のズボンと下着を脱がす。上着はめくられた状態のまま、脱がされなかった。




「どーせ脱がすんだったら、コレも脱ぎたいよ」



そう云いながら、臨也は自ら服を抜いだ。





「ヤる気満々だなぁ?」


「シズちゃんもヤる気満々でしょ?」


「俺は何時だって、手前とだったら殺すも犯すもヤる気満々だぜ?知らなかったか?」


「せめて、抱くって云ってよ…何時も強姦されてるみたいじゃない」



頬を膨らませながら、静雄の蝶ネクタイを外す。ボタンをポツンと手に掛けながら服を脱がしていく。




「違うか?どっち道、喘いで善がってイっちまうだろうが」


「シズちゃん、"ムード"って大事なんだよ?」


「ムードぉ?つか手前、女か?男相手にムードは関係無……ぅ…」


「恋人同士は必要なのってシズちゃん?」



「気持ち悪…ぅぷ……」






       





「これからって時に何してくれてるの?ちょっと、此処でやらかさないでよ?…はい。あっち向いて?」














「…大丈夫?シズちゃん」


「…」


「、最悪―って愚痴っても仕方ないか…。あ。丁度良い所に、自販機が。さっきシズちゃんが投げたお陰で壊れて数本零れてるよ?さっきは気付かなかったな。はい。珈琲」



臨也は静雄の騒ぎの最中洋服を整えた。数回下す静雄を成るべく視界に入れないように。此処が誰も居ない路地裏で良かったと心底感じた。野外プレイも去る事ながら、素っ裸に等しい臨也とそれをした静雄を見たら、通報沙汰だ。ただでさえ、二人の行動には目に余り過ぎる程だと云うのに、セックスをしている姿を見られでもしたら、また新たな都市伝説になりそうだ。ある意味。




…珈琲…?



「文句有り気な顔しないでくれる?仕方ないでしょ?珈琲と紅茶とサイダーしか無いんだから」



「駄目だったら、我慢して?」



悪ぃ…」



「え?」


「これからって時に、ゲロっちまって…」


「シズちゃん、言葉に出さないで?、"ソレ"」



俺は、シズちゃんの下したモノに飲み物を流す。こうすれば、陽が昇った時に見えにくいだろう。仮にもエチケット的?臨時的?な処置に過ぎないけど、そのままよりマシでしょ?




「シズちゃん、俺ん家で休んで行く?大丈夫。殺しはしないから…」





偶然、盗難車の車を見付けた。ここでも情報屋の知識が役に立つ。偶然と呼ぶより、"事前に知っていた場所に置かれていた"方が正しい。数日前に見たのが最後だったが、まだ置かれていた事に感謝する。ピッキングで鍵を開け、エンジンを付ける。防犯システムは古い車だったので、車を盗むのは簡単だった。助手席に静雄を乗せ、車を発進させる。








「…所でシズちゃん、どんだけ食べたのさ?そのお菓子」


「…十袋…」


「…はぁ。加減てモノ知らないの?ま、ガードレールとか引っこ抜いちゃうシズちゃんには、加減するのは難しそうだけど?良くそんな古いお菓子あるよね?賞味期限かなり過ぎてたんでしょ?」



売り言葉にしたつもりが、静雄は買わなかった。寧ろ、臨也を前方不注意で事故らせる様な状況を作る。



「手前に…逢いたくて逢いたくてっ仕方なくて、部屋に買い置きしてあった菓子を食べ尽くした…」




「シ、シズちゃんっ///それって…!?」




!!!!!!!!!!!!




…見事前方不注意で事故りそうになった。





「…あっぶない……そう云う事を云うなんて、相当俺を殺したいの?KY?でも今のはシズちゃんも死ぬよね。死ぬかな?やだっ突然の愛の告白に動揺しちゃったじゃない。やめてよシズちゃん!ある意味スリルのあるムードだったよ?決めた俺、シズちゃんのお嫁さんになる(↑・ω・↑)





「…ぁぁ…」



「本当?でも、今のシズちゃん、信用出来ないな。本来のシズちゃんじゃないっぽいし」



「……ぅ、」



「ちょっシズちゃん!!?あとまう少しで着くから待った!!」













無事到着した俺達。だけど、シズちゃんは半分死んでいた。いっそ、このまま死んじゃえば良かったのにね…。てか、サイドボードにビニール袋があってマジ助かった。。。



シズちゃんを担ぐのは、少しきついので、肩を担ぎながら、半分自力で部屋まで歩いてもらった。直ぐ様寝室へ向かう。こう云う時に力持ちさん=ドタチンが居れば…






ベッドに横たわる平和島静雄におやすみのキスをする。おでこに。流石に反撃は無かった。






「おやすみ、シズちゃん。また明日、シズちゃんが元気を取り戻したら殺し合おうね?セックスもお預け」









男、平和島静雄。恋人の前でツンデレ要素を見せてしまった。本人無自覚。
青年、折原臨也。恋人の前でツンデレを披露してみたが、効果は逆に男に萌えた為、効果は見られなかった。










俺達、死ぬまで、こうやって殺し合って愛し合ってくんだろうね?











終。
2010*05*27
-umi-
静雄/臨也のキャラを崩壊し過ぎました…
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