ザざざ

    耳に残る雑音は中々消えてはクレナイ






「耳鳴りってどうすれば治りますか?」


    いつもの日常。
    いつもの屋上。
    いつもの会話





―――

「知るか。それより、新しい怪談聞くか?」

「今度は何ですか?」

「ああ。今度は―――」




       





   







「…あの。用って何ですか?」

「廊下じゃ何だから―放課後二人で。」


カウンセラー室で待っている。と、耳打ちされ工藤先生はこの場を去った。


「放課後って…部活あるんだけど。う〜ん…あんま気乗りしないなぁ。」


行こうか行くまいか考えていると、授業開始のチャイムが鳴り響く。賑やかだった廊下も今は、真、一人。


「…〜、よしっ5分以内に終わらせてから部活に行こう。四ツ谷先輩の所は今日はパス(―_―)ノ“




  ―――"二人きり"の意図に少女は気付かぬまま――放課後を待った――




――カラカラ―カラ――




「失礼しま-す」

「待ってたよ」

「え、何をですか?」

「何って君の事だよ。"十増間"さん?」

「(イラッ)"中島です"っ!所で、何か用ですか?これから部活に行かないといけ―」


「――な、い…」

「おや?どうしたの?顔赤くして」


部屋に入るなり、急に抱きしめられ、ベッドまで運ばれた。俗に呼ぶ"お姫様抱っこ"で。少女はベッドに腰掛ける形で下ろされた。何が起きたのか分からず、少女は男に尋ねる。


「…工藤先生?」

「こっちの方が落ち着くでしょ?」

何が落ち着くのか。答えは男しか知らない。


「別に落ち着きませんけど。」


「そう?だって二人きりだよ?こうして、ベッドの上に居るんだ。僕は落ち着くよ」

「…そうですか。」


横目で男を見ながら、何とかこの場を脱しようと考える。


「例えば、僕が―愛してる―って云ったら、君はどうする?」

「は…?」

「だから…」
「―!?」


「っからかわないで下さい!」


不意に耳元で―愛してる―と囁いた男は、クスクスと笑っている。その後に、―嘘―と云われたら、何故かイラっとしてしまった。本来なら、先生は私なんかを本気で相手にしている事などないのだ。だから、こんな、嬉しいだとか、イラつく事も不要。私は只の暇潰しに過ぎないのだから。


「からかってなんかいないさ。実験だよ君が僕に恋に堕ちるかを。面白そうでしょ?」

「別に?恋がしたいのなら、小町先生にアプローチしてみたらどうですか?」

「分かってないね君とじゃなければ意味がないんだよ。確かに、小町先生は美しくて優しい。年齢的にも僕と同じ位だしね。容姿面でも君には完全に劣る」

「凄い云われようなんですけど…」

「そんな事ないよ。年相応で良いと思うよ?」

「何か、もう良いです。褒められてるのかけなされてるのかどっちでも良くなってきました」

「同感だね。じゃ、さよなら」

「え?」


すると男は立ち上がり、少女を一人残す。


「それじゃ、僕は帰るから鍵、閉めてから帰ってね?」


   ――ポン――


見ると此処の鍵わ傍らに投げられた。これは、私を置いて先に帰る事なのだろうか?


「ちょっ私も帰りま―うわっ!!」

「おっと…大丈夫?危ないなぁ…ほら。帰るよ、一緒に」


慌てて立ち上がると躓き、男に寄っ掛かる形になった。その拍子に腕を引っ張られ、胸元に顔を埋めた。


   ――ポフ――ン――


「!」



「今日は僕の家来るでしょ?」

…はい///





    





  「―?…」

「どうしたの?」

「ちょっと、耳鳴りが…」






「僕の家に来れば、耳鳴りなんか忘れてしまうから大丈夫だよ」

「何の根拠もないですよね。ソレ」


「あはは…バレた?適当な慰めをしたまでだからね

「…本当、こんな人がカウセリングの先生だなんて…」


「何か云った?」



「いえ」








      ――カチリ――








  カウンセラーは帰宅しました。












終。
-umi-
2010*08*28
段々収集付かなくなってきてるのが、見て取れますね。手探りです。二人は付き合ってる関係です。
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