そして落ちてゆく
僕は闇に落ちてゆく。
深く。
深く。
手を伸ばしても光は届かず。
手管だと知った時程、地よりも深くに落ちたと感じた。
今までのあの人との思い出が無惨にも一瞬で消えたのだ。
嗚呼…
これは夢なのだろう
そうだ。
夢に違いない。
だってあの人と両親は仲がとても良くて…。
僕にも息子同然に愛してくれて…。
これもあの人が掛けた呪いだと思いたい。
墓前に佇む僕は声の無い両親に問い掛ける
こうなるのだったら、真実は知らない方がマシだったのかもしれない。
虎徹さんの云う「知らぬが仏」とはこの事を指すのだろうか?
僕のこれまでの人生は一体何だったのだろう?
復讐に命を燃やし、仇を討ち、これで少しは報われるかと信じていた。
それが賽子(さいころ)は無情にも叫びと絶望の鐘を打ち鳴らしたのだ。
また復讐の炎を燈(とも)さねばならぬのか…。
光射す未来はまだまだ先らしい。
今回は正体を既に知っている。
どうやって追い詰めるか。
内心、追い詰めたくない気持ちと追い詰めたい気持ちが交錯する。
なぜ両親を殺害したのか、理由を知りたい。
僕には息子として知る権利があるのだから。
どうか、あの人以外が犯人であると、誰か教えて…
終。
2012*07*29
-umi-
悲しい悲しいバーナビー君のお話。
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