まずはアクション



「あれ?何だろう」

トレーニングルームの床に一枚のメモが落ちていた。見ると電話番号らしき数字が書かれており、名前は書かれていなかった。

「誰の番号だろう?」

イワンは携帯を取り出し、一人一人番号を照らし合わせていく。だが、誰一人として当て嵌まらなかった。職場の誰かなのか外部の人物なのか。この番号に掛けるのも何やら怖い。そうこうと悩んでいると、扉が開き三人の人物が入ってきた。


「そこのケーキが美味しくて」
「じゃあ、そのお勧めの店にするか」

「そうしましょうよ。私も食べてみたかったのぉ」
「たかられてる気がするが…」
「各自、自腹だから大丈夫よ。ねぇ?カリーナちゃん」
「皆自腹切るから安心して」

入ってくるなりこの部屋が一段と騒動しくなる。

「ん?」
「あら?」
「んま」

「あ、おはようございます」

互いの姿を確認すると四人は朝の挨拶をする。

「おう。いつもより早いな」
「ちょっと忘れ物があって」
「そそっかしわね」
「アハハ」
「何忘れたのぉ?」

忘れ物を聞かれると、彼はゴソゴソとポケットからあるモノを取り出した。

「コレです」
「ああ、楓がお前にあげたマスコットか」
「はい。折角頂いたのに帰ったら無くて。昨日は急いで帰ったから。案の定ロッカーに入れっぱなしにしちゃってて」

虎鉄の娘、楓が彼にあげた五百円玉サイズの兎のマスコット。友達とゲームセンターで取り、彼に似合いそうだからと先日貰った物だった。

「律儀ねぇ」
「確か、楓も色違い持ってたな」
「それ、私も今日貰ったわ。私のは水色の」
「アタシは茶色の兎」

次々と色違いの兎のマスコットが出てくる。

「皆さんも持ってるんですね」

それぞれ、ヒーローとしてのイメージカラーに合わせられているらしい。

「俺は黒兎」

ジャーンと皆で兎のマスコットを見せ合うと、彼とカリーナの色が微妙に似ている事に気付く。

「青は二色あるのね」
「カリーナちゃんは濃いめの青で、イワンちゃんには薄いめ青。こうして皆の並べると可愛さ満点ね!」
「そうね」

「あ、そうだ。この番号誰のか分かりますか?」

思い出したかの様に彼はしまっていたメモを取り出して皆に尋ねた。

「知らないな」
「私も」
「同じくぅ」

どうやら皆も知らないと云う。

「やっぱ外部の人なんでしょうか?」
「そんなに気になるなら、この番号に掛けてみれば良いんじゃないか?」
「え?」
「止しなさいよぉ」
「何だよ。皆して」
「タイガーの携帯から掛けてみたらどう?」
「変化球だな…カリーナ」
「何処が変化球なの?こう云うのは云出しっぺがするものよ?」
「そうよぉ。ほら携帯寄越しなさい」

ネイサンは虎徹の携帯を奪い、イワンから電話番号の書かれた紙を受け取ると躊躇いもなくかけてみた。

「お、おい」
「ふふふ〜ん♪」

   callcallcall


「どう?」
「やっぱり怖い、でゴザル…」
「出ないわねぇ」

数回コールしても相手が出ない為、切ろうとするとやっと相手の声が聞こえた。

『はい』
「出たわ」

皆で携帯画面を覗くとそこには見慣れた姿が映し出された。


「ハ、ハンサムゥ?」
『?何で皆でこっち見てるんですか?』
「っだぁ、お前か〜。紛らわしい」
『は?』
「ハンサムだったのねこの番号」
『番号?』
「バニーだろ?この紙落としてたったの」

ネイサンの手を取り、ヒラヒラを紙を振る。云ってる意図が分かったバーナビーは呆れた顔をする。

『はぁ。それは折紙先輩が相談に乗ってほしい事があると云われたので、それに書いてロッカーの扉に貼っておいたんです』
「でも床に落ちてたぜ?」
『なら、何かの弾みで落ちたんでしょう』
「す、すみません。気付かなくて」
「お前が気にする事ないって」
「ハンサムもそれならそうと云ってくれれば」
『だって先輩、今日来るから分かると思って』
「まぁ、良いや。バニーもこっち来るんだろ?」
『あと五分弱で』
「じゃ、あとでな」
『はいはい』



「この番号、ハンサムだったのねぇ」
「みたいね」
「ったく、粉らわしい。名前位書いとけって」
「迷惑かけてすみません」
「良いって。それより、相談って何だ?おじさんで良かったら聞くぜ?」
「そんな時代遅れのおじさんに相談しても参考になりませんよ?」

五分と経たずバーナビーがやってきた。

「すぐ近くに居たんじゃねぇか」
「名前を書かなかったのは僕のミスです」
「すぐ傍に居たならさっさと入ってこいよ」
「皆の反応が面白くて、つい」
「ついって。やっぱりハンサムって嫌な感じ」
「そんなクールなトコがアタシは好き

「これ、バーナビーさんのだったんですね」
「ええ」
「良し、謎も解決したし、帰りにでもさっき話してたケーキ屋に皆で行くか」
「僕は遠慮します」

「この間流れちゃったハンサムの誕生日祝いを改めてしようって決めたんだから拒否権は無いわ」
「…分かりました。行けば良いんでしょう?」
「可愛くねぇな。あと残りの奴らも呼ぼう」
「そうね」





*.**.*






*..*..*END*..*..*
2012*03*19
-umi-
イワンとバーナビーを絡ませつつ、皆でワイワイする話が書きたかった。まだイワンの口調や仕草がいまいち分かりません。早くレンタルでイワンの回が見たい。




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