ふわふわ ふわふわ

君が空から落ちてくる。
その君を私が拾う。
白くてふわふわな兎さん。



どうやら能力が切れた様でそのまま落下してくる。私が拾わなければ、そう確信する。例えヒーローと云えども能力が発動していなければただの人間なのだ。私が見ないふりをすれば、この兎さんは死ぬ。命を救い、恩を着せるには丁度良い理由だ。私が"命の恩人"だとその身体に浸み込ませる。身体も心も。精神まで私色染めてみせる。
この時は、ヒーローよりも一人の男として兎さんを助けようとしていた。その感情は他人には見せない。




「あ、有難うございます…」
「どうしたんだい?君がこんなヘマをするなんて」
「油断していただけです」

降りようと暴れだしたので、適当な場所で下ろすと、礼を云わずに犯人へと駆け出して行った。

「さて、私も負けない様にもう一踏ん張りするかな」









終。
-umi-
2012*04*16
こちらも初の空兎。


- 13 -

[*前へ] [#次へ]

戻る
リゼ