ある奏者の音
真夜中のトランペッター
一人彷徨うの
哀しげな音色奏でて
新月で月の光は無く真暗闇
奏者を誰も見た者はいないらしい
時に哀しく時に明るく響く音色は
聴く者に安らぎを与えん
罪人はやがて罪が解(ほど)かれるのを待っている
どんな残忍な罪人もこのトランペッターの手に掛かれば
罪の意識に苛まれ
ある日自首せずに自ら命を絶った
何と身勝手なのだろう
何と疎(おろそ)かにするのだろう
自分の命すら何とも思わないのか
元来自分の命を尊ぶより他人の命を尊ぶ事を大切にしてきた私達
だが私達はいつから記憶から歩きだしたのだろうか?
自分の機嫌一つで他人が死ぬのはもう真平御免だ
他人は殺して良いブツじゃない
動植物も同じ事
荒んだ世界など滅んでしまえ
また今夜一人のトランペッターが奏で出す
fin.
2009.07.22
+゚.璃花+.゚
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