死水蛙溺




嗚呼
スザク
枢木スザク…
君は私の愛で死んでしまえば良い
誰にも触れさせない
可愛い
可愛い
私だけのスザク

「ぁの、殿下…?」



  The frog is drowned, and die



君を動物に例えるならば何だろう?
何が当て嵌まるだろう?
目がクリクリしていて
髪はクルクル癖毛
茶色
猫…?

犬…?

犬?!
そうだ!
犬だっ!!!!

「殿下?(…全くこのお人は話がありからと呼び寄せて、人払いもして)」
実際この状況は貴方の一人舞台じゃないか
僕は何の為に此処に居るのか
ユフィの事について話があると呼び出しを喰らったのは二十時頃
だが実際はユフィの事は只の呼び出し材料
スザクを此処へ来させる口実に過ぎなかった

シュナイゼルがスザクに語り掛けてもうかれこれ一時間は経つだろうか
ちらりと時計を見ると二十一時を回っているから確実に一時間は経過している
ススゥ
差し出されたブルーベリームース風味の紅茶を啜る
これで三杯目

紅茶を啜るスザクの手に優しく触れる

滑らかな肌
大きさは
大型犬より小型犬
種類はヨークシャテリア?
ぅ〜ん…
シーズー辺りか…
本人はその犬よりもう雲泥の差
声もとても可愛らしく
ユフィやコーネリアに匹敵する程女性として見ても振り向かない男はいないだろう
だが、彼は男だ

「…殿下」
「何だい?」
ようやくスザクの質問に答えた
何度呼び掛けただろうか
始めは数えていたが、それも次第に諦めた
呼び掛けても視線をこちらに向けるだけで話は終わらないから
その度に僕は無駄に殿下が美しく思ってしまう
喋る口、目の瞬き、時折垂れ下がる髪を掻き上げる仕草を気付かれないように見る
紅茶を啜る時に僕を見つめる時がヤバイ
とても
少し上目使いでこちらを見ないで欲しい
シュナイゼルの視線が痛い

もう
それだけで僕は死んでしまいそうになる
貴方と云う海に溺れて
そう
もし僕が死ぬのなら溺死が似合うだろう
貴方が僕を溺れさせた
否、僕が自ら貴方に溺れていった方が正しいかもしれない
そんな貴方を僕はこの時間帯に何度貴方を見つめていただろう?

「何だい?スザク」
「え?」
君から話掛けてきたのに呼び掛けだだけでは話は進まないよ?
呼び掛けたのは良いもののその後、シュナイゼルの姿を見ていたら言葉の先が続かなかった
「もしかして」
「(ヤバイッ見つめていたのがバレた?)」
「…もしかして、私に触れられるのが居嫌だった?」
図星を突かれると思っていたら違かった
パッと手を離す
おや、連れないねと残念がられた
少しの沈黙
何か話題を…
「(あ。もう紅茶が終わる…)」
そうだ。この場を逃れるには紅茶のおかわりをもらおう

考えていると再びシュナイゼルはスザクの手に触れてきた
「触れた後、君は私を見つめて少しの間そのままだったんだよ?そしてまた、私の名前を呼んだ」
スザクはシュナイゼルの事ばかり考えていたので自分がそんな行動をしていたのかさえ指摘されるまで気付かなかった
「じ、自分がそんな事を?」
「そうだよ?まさか気付いていなかったのかい?」
無意識で行動を取る君もまた魅力的だ
可愛らしく自らの魅力に無関心、それでいて無意識な行動で相手を翻弄させる
と追加発言
行動一つ取っても全てが愛しく想われているのを少年は知らない
目の前の男の気持ちも知らないまま無意識な行動を取り続ける
いつかソレが命取りになるのは少し先




fin.
僕は貴方に溺れて死んでいくのだろうか?
一期シュナスザ。
2008/12/01

+゜.璃花+.゜


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