碧色した百合の雨
−喧嘩は何度もした事はあった。勝敗は7:3で俺が負ける方が明らかに多い。この時はまだコイツが悪魔だって、悪魔の中の最強である魔神の息子だと知らなかったのだから負けるのは目に見えていた事だ。今は悪魔に憑依されたお陰で悪魔を見る事が出来る。触れることも出来る。怖くはない。これでコイツの居る世界に近付ける様な気がしたから。思い出話でもしてみよう。あれは、中学二年位だったか−
碧
色
し
た
百
合
の
雨
「こう、手足縛られちゃ流石の奥村君も反撃できないでしょ?」
「汚ねぇぞ!解けよコレ」
"数人で燐を羽交い締めにし、手足を縛り床に押し倒す。あとは不良のリーダーである白鳥がとどめをさす"と云う流れだった。前半までは上手くいき、燐を縛り倒すまでは成功した。不良達は何処かへ散り、屋上に居るのは燐と白鳥の二人だけ。
「さて、どんな風にされたい?殴られるか。蹴られるか。はたまた殺されるか。三つ目は殺人罪になっちゃうから駄目だね。身体中痣だらけにしちゃうのも良いかもなぁ。今迄の恨み晴らさせてやるよ!!」
−ドガッ−
「げほ…」
燐の腹を蹴ると、心地好い悲鳴が漏れた。
「ど?今の気分は。抵抗出来ずにひたすら蹴られるのって居たいよね?」
−ガッドゴッ−
「かは…っの野郎…」
「良い声。"やめて下さいお願いします"って云えばやめてやんなくもないけど」
「うぐ…て、めぇに…んな事云え−がっ」
「へぇ?(やべえ、コイツのこう云う顔、マジそそるもっと見てぇ)」
白鳥は蹴るのをやめ、しゃがみ込み、燐の顎を掴み耳元で何やら囁く。それに身じろぎ、目をギュッと閉じた。
「大人しくしてくれたお礼に手足解いてあげる」
「ん…」
「んな声出すんじゃねぇよ。うっかり襲っちまうかもしれねぇだろ?」
「なっ、キショイ事云うんじゃ…ね…、ぁ!」
「まさか今ので感じちゃった?」
「男に感じる訳ないだろ?」
「試してみる?奥村君が下で。身体を偽れないように見立てやるよ」
「ちょ…やめ、」
誰も居ない屋上に燐と白鳥の湿った声が奏でられる。校庭の片隅に鉄砲百合の花が咲いているのを二人は知らない。
鉄砲百合=あなたは偽れない
「懐かしいなぁ。あの時の無理矢理犯した奥村君の顔は今でも忘れられないなぁ。痛みと屈辱で泣いちゃって。あれから、時々その顔と声が聞きたくて、奥村君に喧嘩吹っ掛けるようになったんだっけ?」
さて、愛しの奥村君どーこだ
?
終。
-umi-
2011*07*16
白燐。健全に終わらす予定がR-18に。どうしてこうなった…?構想三時間で書き上げました。夜勤後で書いたので朝刊が届く時間です。手足縛りネタまた書きたい
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