あと12秒、
−俺が絶頂するまであと十二秒。いつシてもこの時間だけが。貴方と二人きりで居る刻だけが福なのだと、貴方は知らないでしょう。俺が貴方と身体を重ねる。普段なら有り得ない事だ。初めは貴方の欲の処理さえ出来れば良かった。どんな感情でも構わなかった。なのに、今はしい人になっている。貴方の手で−







「そろそろ?」
「は…はぁ…」

「お前がイクまで数えてやるよ」
「あ、あ、」

バナージの中心を扱きながらリディは数を数える。後ろから抱きしめながらの行為なので、うまく抵抗できない。

「、やめ…」
「やめない」
「あ、と一時間…し、たら、は…会議…が」
「会議か。どうせお前のあの機体についてだろ?」
「…ぁ…」
「俺にはお前が居ればそれで良い」
「ん」
「あと十二秒位したらイクか?」
「やだっやめろ…」




    12


   

ラー・カイラムに戻ったリディはユニコーンを"ラプラスの箱"の鍵として艦内に収容させ、パイロットであるバナージを一時保管の名目で高性能の防音室に連行した。許可は取ってある。必要とあらば、その部屋から出し、尋問でも出来る手筈になっている。本人よりもユニコーンについて緊急会議が催される事になり、リディはその時刻まで持て余していた。実際は当人の身柄は自由に扱って良いと云う暗黙の命令えあった為、好きに扱う事を選んだ。

ロニを救えなかった事実、覇気を失った様なバナージを部屋へ連れ込む。壁に押し付けても抵抗しなかった。パイロットスーツのファスナーを十cm下げても、バナージに変化は無い。これから自分が犯され様としている事にまだ気付いていないのだろうか?これなら抵抗する気になるだろうと、リディはバナージにキスを仕掛けた。一瞬唇が触れ離れる。

「(柔らかい)」

男の唇など味気の無く、悪寒を覚えると思っていた。だが、この少年の唇は確かに柔らかかった。まさか、本気で男を好きになるなどと考えた事が無く、この現実が夢であるのではないかと感じる程に好機であった。

「まだ抵抗しないのか?」
「…」
「まぁ良い。抵抗しないのなら、かき抱くだけだ」

キスをするとバナージの舌を絡め取る。舌も柔らかかった。

「(抵抗無し)」

角度を変え、歯列をなぞったり舌を絡ませたりと繰り返す。これには流石に抵抗の意思が表れた。

「ん…」

気にせず、ファスナーを下がる部分まで下げる。白いシャツを健康的な肌が見えた。

「やだ」
「此処までされれば、自分が何をされるか分かったか?」

唇が離れると二人の間から細い銀糸が名残り惜しそうに切れた。

「リ、リディ少尉、一体何を…」
「"何を"?愚問だなバナージ。こんな事をされて今更何を、なんて世間知らずのお坊ちゃんが云う台詞だ。嗚呼、お前もビスト家の子どもだっかた」

ファスナーを開かされた前を両手で隠す。ファスナーを上げれば良かったが、手が上手く動かず、パイロットスーツの端を掴み、隠す事しか出来なかった。

「せ、世間知らずじゃありません!」
「これからする事も知らないんだろ?」
「そっそれは」
「それは?」

バナージは胸元辺りで隠していた両手をギュッと強く握る。

「俺だって知ってます。それは─」
『セックス』

二人の声が重なる。ハッと顔を上げると寒気がした。自分が云った言葉を云い当てられた事、その言葉が男と重なってしまった事。─"逃げたい"─本能が叫ぶ。ハロが時折云う「キケン、キケン」が脳内に拡散する。それは警鐘。

「…っ」

碧い瞳が、少年の黄土色の瞳を射抜く。弱肉強食の世界なら、正に言葉通り弱者の少年が強者の男に喰われ様とする図である。


「お楽しみはこれからだぜ?バナージ」
「、お楽しみ…ですか?」
「楽しい楽しい時間の事だ」









終。
2011*11*25
-umi-
ep4最後の妄想です。黒いユニコーンが現れなかったら、あのままリディ率いるロンドベルに身柄を拘束されていたのではないかと。
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リゼ