金色に輝く指輪は御霊へ環り






遂にこの日がやってきた。

  −−金環日食−−


リディは一つの覚悟を決めていた。


「本当に指輪の様に見えるんですね!」

宇宙に居たらきっと見れなかっただろうこの瞬間を今、地上で二人きりで見つめている先は金環日食。天気は良好。

「丁度地球に降りてて良かったな」
「そうですね」

専用の眼鏡を翳(かざ)しながらリディはポケットから小さな箱を取り出す。箱はリディ、それからバナージも巻き込む事になる。命運はどちらに微笑むのか。

「なぁ、バナージ」
「何ですか?」

チラとバナージを見れば、キラキラと輝きを放ちながら空を見つめている。

「うちの人間になってくれないか?」
「はい」

意を決してプロポーズしたリディはバナージの速答に喜びで胸が一杯に広がる。

「本当か?」
「…あの、観測が終わってから改めて聞いてもらえますか?丁度、指輪になった所なので」
「あ、ああ…」

リングになった所を見計らってバナージにプロポーズしたが、バナージはそれ何ではなかったらしい。格好良く決めたリディは空気になってしまった。

「指輪を見てたら、何だかドーナツ食べたくなってきました」
「後で何でも買ってやるよ」

溜息混じりのリディに、これまた嬉しそうなバナージの顔が降り注ぐ。

「本当に?」
「好きなだけ買うと良い(金環日食よりもバナージの笑顔の方がよっぽど綺麗だ)」
「約束ですからね?」
「はいはい。すっごいな、このリング」
「こんなの見たら戦争なんて考えたくありませんね」
「同感」





観測後、朝食を済ませて二人は約束したドーナツ屋へ赴いた。


「それより、さっき何て云ったんですか?」
「何でもない」
「そうですか」

云える訳がない。プロポーズをして軽くスルーされたなんて。
俺はムード作りに失敗した。












終。
2012*05*23
-umi-
金環日食プロポーズネタ。一日過ぎてしまいましたが…。バナージには伝わらず空気読めない人になったリディさん。
pixiv同作。
初めてであろう健全リディバナ。
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リゼ