海馬社長のこわいこと
好きだ好きだ好きだあいしている前田佳はオレのものだと最近そう強く感じるようになった。誰にも渡さない佳はオレだけのもので良いとああ佳とはじめて会話らしい会話をしときのことをオレはまだ覚えている。オレから佳に話しかけたのだ。佳はあの頃からかわらなかった。いつも風のようで掴み所がなくだけど佳はオレのことを愛してくれているし佳がオレにいくら悪態をついたり逆があったとしても前田佳という男はオレに向かっていつも笑っていた。オレはそれに安堵するし安堵した。オレはその笑顔が好きだったいや好きだあの頃からおそらくかわってしまったのはオレの方でいつからオレはこんなに嫉妬深くなったのだろうか佳が調子に乗るだろうからしんでも言わないけれど

「んんー……。せ、と…」
佳の声。オレの名を呼ぶ声。
「なんだ…って寝言か」
オレは佳と一夜を共にしておりぎゅううと抱き締められていた。動けない。だけど安心した。それなのにいつも恐怖がそばにある。
「…佳にならば、教えてやろうか」
眠っている佳に話し掛けた。
眠っていたから話し掛けた。
「…佳が…」

オレのそばから居なくなることなんだ。

眠っている相手とはいえその言葉は声に出さなかった。


眠気がオレを襲いオレは佳の腕に抱かれながら眠りについた。





(目が覚めても佳がオレの隣に居るというこの幸福)
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