魔王とは誰だ
そもそもオレは自分が分からなかった。まおうのことを好きなのか、嫌いなのか。まおうでなくて純粋に遊戯のことが好きなのか、嫌いなのか。そこら辺が良く分からない。解っていない。いやこれは結構重大な訳で。堕ちるところまでオレの感情はいってしまったのだと己でも感じる。
ああ分からないよそれでもそんなオレの隣にまおうは遊戯は居て、にこにこと笑っていながら珍しく上機嫌。今日のまおうはどこかオレに甘えていた気がする。だけどああ、その笑い方だ。その笑い方にとけそうで、嫌悪して、それの繰り返し。自分さえも分からないオレは、まおうが何を考えているのかがまったく分からなかった。まおうになったり遊戯になったり本当に意味がわからない。オレを試しているのだろうか。
「−なあ、オレは前田くんが好きだぜ」
そう言ってキスをされる。キスをする。軽いものから、深いものまで。オレはそれを受け止めるのだけれど本当は何も分かってはいないのだ。多分、まおうも。
「ん…っ」
まおうの首筋を噛んでみた。ベッドの上で息づかいの荒いオレとまおう、ただ己の瞳を覗きこんでいた。おそらく本心を確認するために。多分まおうもオレも相手を見てはいなかったのだと思うただそれだけが分かるのだ。まおうの首筋に頭をうずめ、あつい吐息を吐きかけ耳を舌で嬲りまおうの耳を犯していく。だけどまおうの表情は見えなかった。
「−、前田くん、大好きだよ、本当に、本当に」
だけどその声がどこか泣いているのではないかと、オレは思った。

「泣くなよ」
「−…泣いてなんかいない」
「うそつき」

そう言ってオレはまおうのボンデージ服を慣れた手つきで脱がせながら、もう一度まおうの顔を覗き込む。オレは自分が分からなかった。それなのにまおうと言えば嬉しそうに微笑み
「−オレは前田くんのことを好きだよ。その気持ちは確かだ」
そう言ってもう一度キスをされた。

だけれどまおうのはく言葉は信用ならないよ、とオレの心にもいたもうひとりのオレがささやいた。






(結局まおうと遊戯はイコールで繋がるのだろうか)
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