〜2011.6
『ねえ、少年』
『なに−?』
『ちゅーし『あ!そーいえばさ、昨日のワンピースみた!?』よっか?』
『『…………』』
『今なんて??』
『いや…、なんでもねぇ』
こいつはいつもこーだ。
最後まで人の話を聞きやしない。
『そうそう、少年って呼ぶのやめてくれない?私むしろ少女じゃない?ってゆーかむしろそんなに若くないわ。』
『でもいちいち反応はがきじゃん』
『そーかなー??』
『そーだよー』
『あ!アイス食べよう!アイス!』
『はぁ???』
『ほらあそこ、アイスやさん!』
そして突発的に行動したがる。
なんでアイスやなんかがこんなところにあるんだよ。
はぁ…
『…あぁ、あれね。お前こぼすなよ?』
『へっちゃら、へっちゃら〜ちゃーらー♪』
人通りが少ない裏道だからって、スキップされながらドラゴンボール歌われると、人目がさぁ、気になるだろ?ふつーは!
25過ぎた俺にはきつい。
『…お前と一緒に歩くの、時々スゲー恥ずかしい。』
『なに?そんなにときめく??』
『もう少し人目を気にしろよ、いい歳なんだからさ。おしとやかにしよーとか思わないわけ??そーゆーとこが少年なんだよ。』
『ドラゴンボールをばかにするなっ』
『いや、ゴクウはかんけーねーって〜…』
『ゴクウはもういいから、早く早く!』
『ぬぁっ!おぃ!急に引っ張るな!!………まったく、おまぇはよぉ〜…はぁ…』
率先してアイスやに向かっていたかと思えば、こーして急に方向転換して俺に飛びつきながら、腕をこれでもかと絡めてグイグイと引っ張りやがる。
しかも向日葵みたいにまっすぐ満面の笑みで。
色気も糞もないくせに、そりゃぁ反則だろ。
普段ペットボトルも開けられないときがあるくせに、どこにこんな力隠してやがるんだ。
『なに?ため息ついて。胸やけ?』
『ぃや、なんかもーいーや。』
こんな時、まんざらでもねぇ俺が結構気に入っていたりする。
君は天真爛漫。
そんなところが短所で長所。
ものすごく好いね。
そんな君に
骨の髄までしゃぶりつくしたいくらい惚れてるなんて、
君は知らないんだろうな。
end
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