嫉妬(綾←浦)
本当にあの時は嬉しく思いました。



「嫉妬」




僕には、手が届かない人。それが綾部喜八郎先輩だった。同じ委員会になれたとしても僕と綾部先輩との接点のない関係は変わらなかった。
それでも僕は、貴方の些細な変化でも気付けるくらい見つめているのです。



最近綾部先輩が髪を結わえる為の紐が変わった。男が着けるには淡い色過ぎるが、綾部先輩の美しい髪にとても合っていた。

「何?…浦風。」

「あ、いえ。綾部先輩の結紐が変わったなと思いまして。」

「あぁ…実家から送られて来た。二本もね、だから消費させるために着けてる。」

「……はぁ。」


会話が終わった。元々あまり言葉を発しない綾部先輩だから声を聞けただけでも満足だ。





「…いる?」

「えっ?な、何をですか?」

「結紐」

「あ、欲しいです!」

「そう、なら明日あげるよ。」


こんなにも幸せな事ってあるだろうか。初めて綾部先輩から形に残る物を頂ける。それだけで僕の気持ちは舞い上がった。きっとこの日を一生涯忘れないだろう。きっと。











それはまるで訃報を聞いたかのように、言葉の意味を拒絶する。


「は?…あげた?」

「そう。今朝滝の結紐が切れたから滝にあげた。」

「…そ、そうですか。」

「うん。ごめんね?」


その後どうやって委員会を終え自室に戻ったのか記憶が曖昧だった。


綺麗な人だと思った。僕が触れてしまったら汚れてしまいそうなくらい。密かに想うだけならと思って摘み取らなかった花は、あの人言葉で咲き誇り、今散っていった。とても醜く。



「浦風…いる?」


意外にも僕の自室を訪ねてきたのは、綺麗なあの人だった。
きっと、昨日の僕なら死んでしまいそうなほど喜んだだろうに。
今の僕には、綺麗すぎるあの人がとても醜く見える。


『いるんじゃない。あの―』


聞こえない。聞くだけで頭が真っ白になるくらい好きだったあの人の声が。


『…だから、』


なぜ?それはあの人が僕の気持ちを切り刻んだから。


何の気持ち?



貴方に近づこうと

「…さ、い。」

頑張っていた

「…ぅ、さい。」

『…浦風?』

僕の想いを



「うるさい、うるさいうるさい!」


僕はあの人の頬を殴り倒し馬乗りになって、好きだったあの人の髪を引っ張り上げた。

驚きで動きが鈍ったのだろう。思いの外すんなり倒れたあの人が醜く、最高に美しかった。


「お前も平滝夜叉丸も、僕を見下してるんだ!…何の努力もせず生まれもった才能を誇ってな!」




これはなんて




歪な喜劇だろうか




「…だからみんな平然に人を踏みつけにできるんだ!!」



今はただ、あの人の懐から落ちた淡い色の結紐が僕を嘲笑っている。










これは「少女/革命/ウテナ」の黒薔薇編若葉ちゃんがモデルです。

多分誰もが経験してると思う感情かと。

隣の芝原青く見えるんですよね!

色んな事経験して大きくなれよ藤内(何様だ)

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リゼ