交流(作法+食)
委員会が違うだけでこんなにも違いが出るものなのだろうか。



「交流」



誰かこの状況を説明できる奴がいたら是非とも説明して貰いたいほど、俺は今この場の状態に戸惑っていた。

俺は今日、作法委員会から依頼されていた首フィギュアの修理が出来たので届けに来たのだ。不作法ではあったが別段気にする事はないだろうと相手の了承を得る前に扉を開けてしまった。

まず目に止まったのは、四年の綾部喜八郎が仁王立ちする立花仙蔵に土下座をしているところだ。それから目をそらすように奥を見ると立花と綾部の状況なんかお構い無しで戯れている一年生二人と、その横で洗濯物を畳んでいる三年の浦風藤内が見えた。

「…邪魔をする。」

とりあえず言葉がちゃんと出た俺を褒めてもらいたい。

「あぁ…留三郎か。首フィギュア直ったのか?」

「一応な。それを今確認してもらおうかとな。」

「そうか。まぁ立ち話もなんだ、中に入れ。藤内!客人に茶を入れてくれ。」

「あ、はい!」


会話だけなら普通なんだが…綾部はまだ土下座をしたままだ。どうする俺。

「仙蔵…綾部は一体何をしたんだ?」

「ん?…あぁ喜八郎もう良いぞ。少し中断しよう。」

そう仙蔵が声をかけてやると、綾部はむくりと顔を上げた。その顔はいつもと変わらずの無表情…一体作法委員会に何が起きたというのか。


す、と俺の横から浦風が静かにお茶を出してくれた。この落ち着きがうちの子達の中に一人でもあれば良いのだが。

「どうぞ、食満先輩。」

「あぁすまない…時に浦風。なぜ綾部は土下座なんぞしていたんだ?」

おもわず小声になった俺に合わせるかのように、浦風は苦笑いしながら小さく答えた。

「…なんでも嫁をもらう時の作法練習だそうで。」

「はぁ?!嫁だぁ?」

予想外の答えに俺はつい大声を出してしまった。その様子を見て仙蔵がニヤニヤと笑っている。

「私は先輩として色んな作法を教える義務があるからな。今日はこの喜八郎に教え込んでいたのだ。なぁ喜八郎?」

「はい…大変役に立ちますね。」

そう言うと、綾部は俺に向かって真剣な目をして言い放った。


「娘さんを!私に下さい!!」

普段の綾部じゃ考え付かない程の声量で驚いたが、その後キレの良い土下座をした綾部にもう何も言うことが出来なかった。

「うむ!流石私の作法委員だ!」

仙蔵はご満悦なようだが俺には着いていけない。


目眩を起こしそうな俺の肩を浦風はそっと支えてくれた。

「いつもの事なので気にしないで下さい食満先輩。」

「…浦風。お前は毒されてはいないか?大丈夫なのか?」

もはやこの状況で平然としている浦風は超人な気がする。もしくは仏か。

「大丈夫ですよ?僕だって作法委員の一員ですから。」

「ちなみにお前はさっきまで何をやってたんだ?」

「え?…あぁ今日の僕の課題は花嫁修行だったもので。」


あぁ、早く俺の可愛い用具委員に会いたい。
俺はしばらく作法委員会はトラウマになりそうだ。

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リゼ