四月馬鹿(綾→浦)
はぁ…僕も不運だな

『じゃぁ皆このクジを引け!』

『作兵衛…これには何が書いてあるの?』

『今日嘘をつく内容だ!相手は同じ委員会の先輩だからな!』

『私は潮江先輩に嘘をつくぞぉ!』

『用意はいいか?…いっせぇのぉせッ!』


これで僕が引いたのが…



【愛の告白】

だもんなぁ…どうしよう


僕には、立花先輩と綾部先輩の二人の先輩がいるんだけど…どちらも嘘がつきにくい、と言うより冗談が通じない人達だからなぁ

立花先輩か…いや、もしかしたら嘘の告白をしたという弱味につけこんで一生遊ばれるかも

綾部先輩は…あの人そもそも話を聞かないしな。なら綾部先輩にさらりと告白して、すぐ嘘だとばらそう

綾部先輩を見つけ、委員会に連れて行くのが日課となった僕は不本意だが綾部先輩を見つけ出すのが上手くなった

昨日は地盤が柔らかな所を掘ってたから、今日は硬い所かも


ザックッ…ザックッ…


僕の予想は的中したらしく、綾部先輩をすんなりと見付ける事が出来た…あとは

「…あの、綾部先輩!」

「…藤内?」


嘘の告白を…



手を休め穴の中から僕を見上げる綾部先輩…ど、どう言えばいいのか

「…なぁに?」

「えっと…ですねッ!」

落ち着け浦風藤内!すぐ嘘だって言えばいいんだから

「先輩…あの、」

綾部先輩の頬に土が付いていて、ちょっと子供っぽかったから親指でそれを払いながら

「…………すき、です」


愛の告白をしてみた


すると綾部先輩の綺麗な目が大きく開き、ぽかんとしたのが分かった
は、早く嘘だと言わなければ

「…えっと実はですね」

「…藤内…おいで」

「…って、うわぁ!」

急に腕を引かれ僕は作成途中の蛸壺に引き込まれた

「いたたたって綾部先輩?!」

受身を取れなかった僕を包み込む様に綾部先輩は僕を抱き締める

「…藤内大丈夫?」

「はい…ってす、すみません今すぐ退きます!」

上から落ちた僕は必然的に綾部先輩の腹に乗っかってしまっていて…先輩になんて事を!しかし綾部先輩は僕の腰を掴み離そうとしない

「綾部先輩離して下さい!」

「…………やだ」

「な、なんで…ッ?!」

急に下から綾部先輩が上体をお越したかと思うと、僕の唇に柔らかいものが重なった

こ、これって?!


「…藤内、私の事好きだったんだ…」

綾部先輩は今まで見たことも無いくらい綺麗に笑っていた

それに見とれてしまって動けなくなった僕を再度抱き締める

綾部先輩の香りが…僕の全ての機能を停止させる、そんな気がした

「…あ、綾部先輩ッ…」


僕はいつ、嘘だと言えばいいのだろうか

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リゼ