まだ、(綾浦←次)
一度見たそれは…頭にまだ焼き付いている


それは確か、体育委員会でマラソンコースの確認だとかで裏裏山に行っていた途中の時だったと思う

気付けば俺以外の皆が道からいなくなっていて、仕方がないと忍術学園に戻ろうとした時


カサカサッ


草木を何かが揺らす音がしてそちらを見ると


「はぁ…綾部せんぱッ」

「藤内もっと舌出して」

「…、ぅんッ…ぁ」


それはそういう行為だからとか、そういう問題でなく…

『藤内って…あんな顔するんだ』

普段見たこともない表情を友人がしていたから


頭から離れなくなった





「作兵衛、左門、三之助入るよ?」

「おぉ!いらっしゃい!」

夜こうして俺達の部屋に遊びに来る藤内は、ただの友達なのに…あれを見たせいか、なんだか他人みたいだ

「…三之助?どうしたのずっと藤内見て」

「いや…」

俺がしても…綺麗に

「………三之助?」

微笑んでくれるだろうか

「………ッちょ?!」

気付いたら藤内の顔がめちゃくちゃ近くにあって、数馬と作兵衛が俺を取り押さえている…いきなり何をするんだ

「二人とも何して…」

「それはこっちの台詞だ馬鹿野郎ッ!」

「僕の藤内に何しようとしてるのさ!このまま腕折るよ!」

「イタタタ!数馬さん止めて!」

しばらくして二人に解放されたが…俺、一体何をしようとしてたんだっけ?

藤内を見ると何ともないように笑っていたけど…少し震えている

「…………藤内、その」

「三之助…ごめん」

何がごめんなのか分からない、だけどこの『ごめん』は俺と距離を作る言葉だという事だけ分かった…

「…と、藤内?」

「三之助が、求めてるものは…あげられない」

「…………ッ?!」

求めてる

そうだ俺はあの時から

藤内を







「綾部先輩!また落とし穴掘りましたね?!」

「蛸壺のトシちゃんだもん」


あれから別段藤内は俺を避けるとか、嫌うことはなく周りから見れば何ら変わりのない日常が続いている


まぁ…俺以外、がな


自覚する前に駄目になるなんてな…いや、自覚出来たとしても結果的に藤内を俺のものには出来なかっただろう…多分

「どうした三之助」

「滝夜叉丸先輩…」

「さぁ早く紐を身体に通せ!またマラソンだぞ!」

「あー…はい」



でもやっぱり


俺はまだ欲している


まだ……ね、
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リゼ