浅はか(綾→浦)
※深く、の綾部サイド

「珍しいな…」

「何がですか?」

「お前が他人に説教とは…」

あの子に興味を持つとは、と立花先輩は土埃が付いている私に投げ掛ける…見てたのか

「別に…本当に忍者向いてないし」

「ふむ、しかし影で努力しているのは…知ってるんだろ」

「はい…なのにあの始末、あの子には無理でしょう」

あのままじゃ過激な作法委員会は…もたない

立花先輩はやれやれとわざとらしく頭を抱え、私の首に腕を回し引き寄せる
自然と頭だけ近付く体勢になった私の耳に、立花先輩は低い声で囁く

「…お前のあの言い回しでは、嫌われてしまうよ」

「誰にですか…」

「浦風藤内にだ」

別に関係ないだろう、あんな何にも出来ない子なんていらないし嫌われようが…
何も言わない私を離し、忠告はしたぞと立花先輩は私に背を向ける

「あの穴は深すぎだ…後で助けてやれ」

「…そのつもりです」

「それならよかった…お前達が苦しむのは見たくない」

お前達がって、なんで私も含まれているのか

言葉の真意を探しながら蛸壺に戻ると

「……………浦風?」

あの子はもういなかった

あの子じゃ上がれない蛸壺を作ったのに…

言い様のない空虚が私を支配する



ガラッ…ガラ


「失礼します」

委員会が始まる前に道具等を準備する係りが回って来た私は、用具委員会に用具を借りに来た

目の前に見えたものは

「お〜綾部かぁ!」

「あふぁふぇふぇんふぁい!」

「喜三太…口に団子くわえながら喋るな!」

「……綾部、先輩」

あの日、蛸壺にいるはずだったあの子がいた
何してるの、こんな所で

「作法の使いで来たんだな!…という事は藤内もこれから委員会か?すまないな忙しい時に団子とお茶用意してくれて」

「い、いえ食満先輩!僕がしたくてした事ですから…」

「そかそか…ありがとうな」

なんで、そんなに笑ってるの…頭まで撫でられて、気持ち良さそうに…『藤内』なんて呼ばれて


貸し出された用具を片手に、あの子の腕を引っ張り作法委員会室に放り投げ…戸を閉める

「ッ綾部先輩?!」

凄いイライラする

今までに経験した事がないくらいの、この胸から湧き出る怒りをこの子に…

「作法委員会を出た後の居場所作ってたの?意外と要領いいんだ」


「ぁ…あぁッ…」

なんでこんなに…

「汚ならしいね」

苦しいのか



「なんで逃げるの?」

浦風藤内

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リゼ