9話 2013.10.12更新
「薫?」
「ん?」
帰りのバスの中で、英彦は景色を眺めながら薫に話しかけた。
「オレのこと…気味悪くねえの?」
「え?…どうして?」
「………」
何も答えない英彦に、薫は顔を寄せた。
『いいじゃん、別に。男の人が好きだってさ。』
耳打ちされて、英彦はビクッと薫を見た。
「英は英だし、ボクの親友に変わりはないよ?、これからもさ。」
「薫…」
「それに…ボクも、英と一緒かもしれないし。」
薫はニコッと笑った。
「か、勘違いかもしれないだろ?。ビックリしただけかもしれないしさ〜。」
「うん、そうだね。」
「………」
「でもボク…我慢出来ないから、家に帰ってからすると思う。」
顔を赤らめながら俯く。
「英のや篤史さんの…思い浮かべながら。」
「な…あ、篤史のも見たのか?。アイツ」
「違う。ボクが見せてって言ったの。」
「……え?」
「それだけ興奮しちゃって…どうしようもなかったの…」
薫は、チラッと英彦を見て、『ごめんなさい。』と言いながらまた俯いた。
「謝らなくていいけどさ…オレの客ってわけじゃねえし…」
「ウッソだ〜。」
「ホントだって!」
言ってしまってから、英彦は赤くなった。
「じゃあさ、じゃあさ。誰にされても、あんなふうになっちゃうの?」
「う…そ、そんなことねえよ…」
「ほら〜。篤史さんだから、あんなにエッチに」
英彦に口を塞がれて、薫はコクコクと頷いた。
「ごめんなさい…」
「………」
「好きなんだ?、篤史さんのこと。」
英彦は答えず、景色を眺めた。
「初めての客だったんだ…」
「………」
「男とキスしたのもアイツが初めてだったし…ケツ掘られながらイッたのも、アイツが初めてだったから…」
「な…」
薫は赤くなった。
「初めてが多すぎて…印象が強いだけ…」
静かになった薫に、秀彦は振り返った。
「薫?」
「そんなに…すごいことしてるんだ…」
「ま、まあな…たまにだよ、たまに。」
薫は自分の股間を見て、秀彦を見た。
「また、硬くなっちゃった…ボクって、体も心も子供だぁ。」
秀彦はクスリと笑う。
「篤史なら、そのての奴いっぱい知ってそうだから、今度紹介してもらおうっか?」
「うんうん!」
「どんな奴がいいんだ?」
「う〜ん…」
薫は、耳打ちした。
『英や篤史さんよりチンポが大きくてカッコよくないと、興奮しないと思うな〜、ボク。』
完
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