唐突な

美紗「…ねーむーいー」

黒崎「……」

【寝ろ】

「…えー」

【えーじゃない、最近寝不足だろ】

「ばれました?」

【隠せると思ったのか】

「思いましたねぇ…わかりますか、やっぱ、匂いで。
じゃあ私の香水とかわかります?」

【わかる。
だけど匂いでわかったんじゃない。】

「あら、これは失敬失敬。」

【おっさんか】

「やだ、まだ若いですぅー」

【若いからって無理すんな】

「……黒崎さん優しい…」

【 黙って寝ろ 】

「んー、好きな人と一緒なんて緊張して眠れません。」

「ごほっ」

「わ、ごめんなさい、冗談です」

【俺にそういうこと冗談でも言うなよ】

「ハイ申し訳ないことでございます」

【それと】

「はい」

「好きだ」

「…はい?」

「 美紗のこと、好きだ 」

「……え、え、待って」

「待たない」

「ちょ、どうしたんですか黒崎さん」


これはまずいと後ずさりしたものの、素早く椅子から立ち上がって
熱い腕が これまた熱い手にからめとられる


「黒崎さっ、!」


そっと腰を手のひらで押され、なすがままの体は
彼と密着することに。

思考停止状態の彼女に思わず その白い首に歯を立てる


「や、まっ、待って待って待って」

「黙れ」


首筋に顔を埋めていた黒崎が顔を浮かせて
耳に 少し掠れた声を吹き込む

意識を取り戻した彼女の抵抗の為黒崎の胸板に置かれた手は 緊張のしすぎで冷たくなっていた。

冷たい手首を掴み、そっと自分の胸板に押し付ける

どくどく脈打つ心臓の音が彼女の指先を震わす

また口を開きそうになっていた彼女も口を閉じる


「……BVLGARI」

「……へ?」

「香水、BVLGARIだろ」

「…ご、ご名答、です…」


ふっと笑った黒崎の息が彼女の剥き出しの首にかかり
びくりと肩を竦ませる

かしりと最後の ひと噛み


「いっ、、ひ?!」


その歯形に舌を這わせ そっと彼女を解放する。

とさりと、椅子に座り込んだ彼女を 少し申し訳なさそうに
ただ欲情の色は消えない目で見やってから

研究室の扉を開ければ

どたどたどた!



「ち、ちがうんです!!」

「別に覗く気はなかったんだけどね」

「そうなっちゃったと言うか」

「なんと、言いますか、」


「……勇治のばか」

「っ?!」


どうせ 皆が聞いているなんて匂いでわかっていたであろう黒崎に
仕返しとばかりに呼んだ下の名前は、ずくりと心臓を撃ち抜いたようだ。

その真っ赤な顔と狼狽える視線が可愛すぎてデスクに突っ伏した

どうも彼には勝てそうにない。

*
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リゼ