とある一軒の女郎屋。
強い女の香が漂うこの店の中へ二人の男が連れ立って入っていく。
男達は今宵相手をさせる女を指名し、案内された部屋の前まで来ると、じゃあ後でと言葉を交わしそれぞれの部屋へと姿を消した。
ガガッ…
プッ
『こちらシカマル。ナルト、サイ、応答してくれ』
『ナルトだってば。こっちは順調に進んでる』
『こちらサイ。ナルトに同じ』
『解った。こっちは今のところ問題なしだ。そのまま手筈通りに進めてくれ』
『『了解』』
襟元に忍ばされた小型マイクの通信を切ると、たった今薬で眠らせた女郎の上にそっと布団を被せ印を組む。
影分身が出現すると女郎の隣に眠らせ、目覚めるようなことがあったら引き留めとおけと言付けをしてからナルトは立ち上がった。
時は夜。
動くには都合がいい。
be ardently in love B
プッ。
潜入捜索を開始した二人からの通信を切り、シカマルは一呼吸した。
対象の女郎屋から離れること100m。
その一望を覗ける場所から様子を見たところ、門前では客寄せの男が声を張り上げ、障子の向こうから灯る灯りから写し出されたゆったりと動く人影達は、内部で異常のないことを教えてくれた。
ナルトとサイはうまくやっているらしい。
だがシカマルは顔をしかめる。
先程から妙な違和感がするのだ。
キレる頭をどんなにひねってもその原因が思い当たらない。
シカマルから10m程離れた位置から同じように女郎屋の監視を続けているサスケには、自分と同じ違和感を感じているようには見えない。
只の気のせいだろうか…
「どうかしたか?」
視線は女郎屋に向けたままサスケがシカマルへ声を掛ける。